50〜130秒のガマンに成功
本研究は、イギリス・スタンフォード大学が1960年代後半から70年代前半にかけて行った「マシュマロテスト」に着想を得ています。
マシュマロテストは、未就学児を対象にした「自制心と認知機能」を調べる実験です。
子どもの前にマシュマロを1つ置き、15分間ガマンできれば、もう1つ追加してマシュマロを与えます。
研究チームは、これにヒントを得た実験を「ヨーロッパコウイカ(学名:Sepia officinalis)」を対象におこないました。
しかし、マシュマロをそのまま使うわけにいかないので、テストの前に個々のイカの好みを調べ、1番の好物とそれに次ぐ2番目の好物を割り出しています。

チームは、1番目の好物を「ガマンした後のご褒美」、2番目の好物を「すぐに手に入るエサ」として設定し、実験を開始。
2番目のエサを10秒間ガマンできたら、1番の好物が報酬として手に入ることを訓練で学習させます。ガマンできなければ、1番の好物は食べられません。
1回目をクリアできたら、遅延時間を10秒ずつ増やしていき、どこまで耐えられるかをテストしました。
その結果、イカは平均して50〜130秒までガマンできることが判明したのです。
これはイカが報酬の仕組みを理解し、自制心を働かせていることを示します。
では、なぜイカは他の海洋生物には見られない自制心をもっているのでしょうか。