超大質量ブラックホールのイメージ。
超大質量ブラックホールのイメージ。 / Credit:ESO/M. Kornmesser
space

「移動している」超大質量ブラックホールが鮮明に観測される

2021.03.15 Monday

Astronomers Detect a Black Hole on the Move(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics) https://www.cfa.harvard.edu/news/2021-06
A Restless Supermassive Black Hole in the Galaxy J0437+2456 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/abde3d

超大質量ブラックホールは銀河の中心にどっしりと居座っているものですが、それが宇宙をうろうろと動き回ることはありうるのでしょうか?

3月12日に科学雑誌『Astrophyiscal Journal』に掲載された新しい研究は、銀河と超大質量ブラックホールの移動速度をそれぞれ別に測定することに成功し、観測した10個の銀河のうちの1つで、ブラックホールが別個に移動しているのを確認したと報告しています。

銀河内で超大質量ブラックホールが移動する可能性は理論上指摘されていましたが、観測での確認は非常に困難だと証明されていました。

今回の発見は、こうした観測としては、これまででもっとも明確なケースとなるようです。

質量の大きな物体は動かない

渦巻銀河。その中心には超大質量ブラックホールがある。
渦巻銀河。その中心には超大質量ブラックホールがある。 / Credit:ESA/Hubble & NASA and S. Smartt (Queen’s University Belfast)

回転する銀河の中心には、太陽の数百万倍以上という質量を持った超大質量ブラックホールがあります。

この超大質量ブラックホールは、銀河の中心に居座ったまま、通常は動くことがないと考えられています。

なぜなら質量とは、物体の動かしにくさを示す数字だからです。

例えばサッカーボールと同じ大きさの、重たいボーリング玉を使ってサッカーができるかと考えてみましょう。

ボーリング玉を蹴って高く打ち上げたり、スムーズに転がすことは無理だろうと、すぐ想像がつくと思います。

質量が大きいと、それは動かしにくい状態になります。

超大質量ブラックホールを動かすというのは、とんでもないパワーを必要とするため、普通動くことはないと考えられるのです。

ただ、銀河自体が宇宙を移動することはよく知られています。

私たちの住む天の川銀河も、過去に他の銀河と衝突している痕跡が見つかっています。

そのため、天文学者はブラックホールは、それが存在する銀河と同じ速度で移動しているだろうと考えられます。

もし、両者の速度が異なっていた場合、それは動くはずのない超大質量ブラックホールが銀河内を別個に動き回っていることになるからです。

しかし、理論上は、そんな超大質量ブラックホールの移動もありえるとされています。

ただ、それが観測によって明確に確認されたことは、ほとんどありません。

ところが今回の研究は、そんなまれな現象を発見したと報告しているのです。

次ページ宇宙をさまよう超大質量ブラックホールの発見

<

1

2

>

物理学physics

もっと見る

Special

注目pick up !!