暁新世の葉の化石
暁新世の葉の化石 / Credit: University of Melbourne
paleontology

南極の氷の下には「化石化した森」が広がっている 超大陸ゴンドワナの遺物

2021.03.16 Tuesday

1833年、南極で初めて木の化石が見つかりました。それ以来、いくつかの調査によって、南極の氷の下には「化石化した森」が広がっていると分かっています。

そして最近、オーストラリア・メルボルン大学地球科学部に所属するAnne-Marie P.Tosolini氏ら研究チームは、南極大陸の化石調査により、かつて生育していた植物の多様性を明らかにしました。

これにより当時の気温や天候、植物の種の移動を詳しく知ることができたのです。

研究の詳細は、2月付けの科学誌『Review of Palaeobotany and Palynology』に掲載されました。

Fossil forests under Antarctic ice https://phys.org/news/2021-03-fossil-forests-antarctic-ice.html
Paleocene high-latitude leaf flora of Antarctica Part 1: entire-margined angiosperms https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0034666720302219?via%3Dihub#!

南極の氷の下にある「化石化した森」を調査する

これまでの調査によって、南極の下には、木や葉の化石がたくさん存在していると分かっています。

どうして極寒の地である南極に森林の形跡があるのでしょうか?

科学者たちによると、この森林は過去に存在していたゴンドワナ大陸の名残だと考えられています。

ゴンドワナ大陸
ゴンドワナ大陸 / Credit:Lennart Kudling / Wikipedia

プレートテクトニクスによると、現在のアフリカ、南米、南極、インド、オーストラリアはもともと同じゴンドワナ大陸でした。

ところがゴンドワナ大陸は約2億年前から徐々に分裂し始め、最終的に現在のような状態になったとのこと。

つまり南極の氷の下には、当時の森林が化石となって保存されているのです。

そのためそれらの化石を調査するなら、当時の状況や気候を知ることができます。

5,500万年前、突発的な地球温暖化があった(PETM)
5,500万年前、突発的な地球温暖化があった(PETM) / Credit:Anne-Marie P.Tosolini / phys

また始新世と暁新世の境界(5500万年前)では突発的な地球温暖化が起きており、当時の状況を探ることは、将来の地球温暖化の考察に繋がります。

ところが南極の化石化した森は、1901年に南極探検隊が調査して以来、ほとんど研究されていませんでした。

そのためTosolini氏ら研究チームは新たに調査し、論文によって南極の古代森林の生態を解明しようとしたのです。

次ページ「化石化した森」と「他の大陸の森林」には共通点があった!南極は植物の中継地点だった!?

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