涙腺が内部に溜まっていく涙で膨らんでいく様子
涙腺が内部に溜まっていく涙で膨らんでいく様子 / Credit:Cell Stem cell
biology

人工培養された涙腺に「感情の涙」を流させることに成功

2021.03.18 Thursday

Scientists Create Artificial Tear Glands That Can Cry Real Tears https://www.iflscience.com/health-and-medicine/scientists-create-artificial-tear-glands-that-can-cry-real-tears/ Researchers grow crying human tear glands in the lab https://www.irishnews.com/magazine/science/2021/03/16/news/researchers-grow-crying-human-tear-glands-in-the-lab-2257685/
Exploring the human lacrimal gland using organoids and single-cell sequencing https://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(21)00075-8?utm_medium=homepage

培養された涙腺にも涙を流す能力があるようです。

3月16日に『Cell Stem Cell』に掲載された論文によれば、人工的に培養した涙腺に「感情に由来する涙」を流させることに成功したとのこと。

培養された涙腺(涙腺オルガノイド)には脳オルガノイドとの神経的な接続はありません。

なのに、いったいどうして感情に由来する涙を流せたのでしょうか?

ヒトとマウスの涙腺を培養する

涙腺は左右の目の外側・上あたりに存在する
涙腺は左右の目の外側・上あたりに存在する / Credit:wikipedia

近年の急速な臓器培養技術の進歩により、を含むさまざまな器官の人工的な培養が可能になってきました。

これら人工培養された器官は「オルガノイド」と呼ばれており、幹細胞を再プログラムし増殖させ、自然に三次元的な構造に組み上げることで形成されます。

今回の研究で培養された涙腺。涙は内部に向かって分泌される
今回の研究で培養された涙腺。涙は内部に向かって分泌される / Credit:Cell Stem cell

今回、オランダのヒューブレヒト研究所の研究者たちはマウスおよびヒトの涙腺から抽出した「成体幹細胞」を培養し、1年かけてマウスとヒトの涙腺オルガノイドを作ることに成功しました。

成体幹細胞とはすでに身体の組織に存在していて、ある程度の分化能力を持っている細胞のことで、損傷組織の再生などにおいて新しい細胞を作る役割をもっています。

そのため、形成された涙腺オルガノイドは実際の涙腺を模倣した三次元的な構造を持っており、マウスやヒトの涙腺と同じ機能があると期待されます。

そこで研究者たちは、涙腺オルガノイドを実際に「泣かせて」みることにしました。

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