オーストラリア在来種の保護と本来の目的

オーストラリアには600万もの野生のネコがおり、年間8億もの在来動物を殺していると言われています。
同じくイギリスから持ち込まれたキツネも在来種の脅威となっています。ただしキツネは毒餌を食べてくれるため、比較的駆除しやすいとのことです。
ネコやキツネの圧力があまりにも強いため、オーストラリアの哺乳類絶滅率は世界でも最高レベルになってしまいました。
そのため、多くの人々がこれまで在来種を保護しようとしてきました。
モズビー氏によると、「これまでの研究では、ネコをいかにうまく殺すかに重点が置かれてきました」とのこと。

確かに捕食者がいなくなれば、被食者である在来種は保護され、その数は増加するでしょう。
ところが、モズビー氏はこの方法に疑問を抱くようになりました。
「私たちが最終的に目指しているのは、捕食者と被食者が共存することです。オーストラリア全土のネコを駆除するつもりはありません」
通常、生態系は捕食者と被食者のバランスで成り立っています。
ところがオーストラリアでは捕食者だけが急激に増えてしまいました。
従来の方法は、増加する捕食者を間引いてバランスを保たせるというもの。
しかし捕食者の増加率が大きいため、そのバランスは人間の介入がなくなるとすぐに崩れてしまうのです。
そこでモズビー氏は別の方法を試すことにしました。被食者のサバイバル力を強化して、生態系のバランスを取り戻すのです。