ネコをあえて放って圧力をかける研究
ネコをあえて放って圧力をかける研究 / Credit:Arid Recovery
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逆転の発想! ネコを放って在来種のサバイバル力を強化させる実験

2021.03.30 Tuesday
The scientists releasing cats in Australia https://www.bbc.com/future/article/20210324-assisting-evolution-how-much-should-we-help-species-adapt

現在、オーストラリアの在来種は捕食者たちによって絶滅の危機に瀕しています。

そこで再導入生物学の博士号をもつキャサリン・モズビー氏は、1997年に夫と生態系再生プロジェクト「Arid Recovery」を立ち上げました。

その中で彼女らは、「保護区域の中に捕食者のネコを放つ」という実験を行ない、在来種のサバイバル力を強化させようとしています。

オーストラリア在来種の保護と本来の目的

オーストラリアでは野生のネコが在来種の脅威となっている
オーストラリアでは野生のネコが在来種の脅威となっている / Credit:Arid Recovery

オーストラリアには600万もの野生のネコがおり、年間8億もの在来動物を殺していると言われています。

同じくイギリスから持ち込まれたキツネも在来種の脅威となっています。ただしキツネは毒餌を食べてくれるため、比較的駆除しやすいとのことです。

ネコやキツネの圧力があまりにも強いため、オーストラリアの哺乳類絶滅率は世界でも最高レベルになってしまいました。

そのため、多くの人々がこれまで在来種を保護しようとしてきました。

モズビー氏によると、「これまでの研究では、ネコをいかにうまく殺すかに重点が置かれてきました」とのこと。

在来種をフェンスで囲い、捕食者は駆除されてきた
在来種をフェンスで囲い、捕食者は駆除されてきた / Credit:Arid Recovery

確かに捕食者がいなくなれば、被食者である在来種は保護され、その数は増加するでしょう。

ところが、モズビー氏はこの方法に疑問を抱くようになりました。

「私たちが最終的に目指しているのは、捕食者と被食者が共存することです。オーストラリア全土のネコを駆除するつもりはありません」

通常、生態系は捕食者と被食者のバランスで成り立っています。

ところがオーストラリアでは捕食者だけが急激に増えてしまいました。

従来の方法は、増加する捕食者を間引いてバランスを保たせるというもの。

しかし捕食者の増加率が大きいため、そのバランスは人間の介入がなくなるとすぐに崩れてしまうのです。

そこでモズビー氏は別の方法を試すことにしました。被食者のサバイバル力を強化して、生態系のバランスを取り戻すのです。

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