アリステア・エバンス氏が角の伸び方に見られる新しいルールを解説
アリステア・エバンス氏が角の伸び方に見られる新しいルールを解説 / Credit:Evans EvoMorph Lab
biology

爪や歯の伸び方には「生物共通のルール」があった 歯は先端ほど細くなっていく法則

2021.04.01 Thursday

自然界には黄金比に従った対数螺旋など、共通の法則が存在すると言われてきました。

そして最近、科学者たちは新たな共通法則を発見しました。

オーストラリア・モナシュ大学生物科学部に所属するアリステア・エバンス氏ら研究チームが、生物の爪や角の成長にも共通して「べき乗則(英訳:power law)」が当てはまると報告したのです。

研究の詳細は、3月30日付けの科学誌『BMC Biology』に掲載されました。

Researchers discover how animals grow their pointy body parts https://phys.org/news/2021-03-animals-pointy-body.html
A universal power law for modelling the growth and form of teeth, claws, horns, thorns, beaks, and shells https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-021-00990-w

「べき乗則」は世界中に見られる基礎的な法則

「べき乗」とは、「2³」や「5²」などのように、「x k」つまり「xのk乗」で表現できるものを指します。

そして「べき乗則」とは、簡単に言うと、数学の「 y = a x k」で示されるものであり、「観測値yは観測値xのべき乗に比例する」法則のことです。

言葉では少し難しく感じますが、ほとんどの人が学校で習ったことのある数式です。

そしてこのべき乗則は、自然界の法則にも関係しています。

べき乗則に従うグラフの例。横軸が商品のアイテム数、縦軸が販売数量を表す。このモデルは「80:20の法則」として知られ、右に向かう部分はロングテールと呼ばれる
べき乗則に従うグラフの例。横軸が商品のアイテム数、縦軸が販売数量を表す。このモデルは「80:20の法則」として知られ、右に向かう部分はロングテールと呼ばれる / Credit: Hay Kranen / Wikipedia

例えば、重力やクーロン力などが当てはまる逆2乗の法則(物理量の大きさがその発生源からの距離の2乗に反比例する)も、べき乗則です。

またべき乗則は、地震の大きさ、都市の大きさ、株式市場の動きなどにも適用されると言われています。

生物学でもこのべき乗則のパターンが見いだされているのですが、新しい研究ではこのべき乗則が、多くの生物の角、牙、爪、クチバシなどの形状にも見られると分かりました。

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