最高時速80キロで回転⁈
映像は3月24日、写真家のレフ・フェドセイエフ氏により、ロシア北西部・ムルマンスク州ロヴォゼロ村の郊外で撮影されたものです。
トナカイは、シカ科トナカイ属を形成する唯一の種で、北極圏の先住民らは、トナカイを食用や毛皮用、橇(そり)などに使っています。
この竜巻行動は、群れの防御習性として知られ、危険を察知すると大人のオスが主体となって群れを囲むように回転し始めます。
渦の中心には、子どもやメスが配置され、外側を回転するオスによって守られます。
カリフォルニア州・サンディエゴ動物園によると、トナカイの最高速度は時速80キロに達するといい、その渦の中に飛び込もうものなら、強靭な捕食者でも大ケガを負うのは必至です。
トナカイは普通、10頭〜数百頭の群れで移動し、春になると5万〜50万頭もの巨大な群れをつくります。
野生下における世界最大の記録は、シベリア北部のタイミル半島で確認された約100万頭のトナカイの群れです。
竜巻の規模は群れのサイズによって様々ですが、100万頭であれば、どんな天敵でも近づくのは不可能でしょう。
一方で、今回のケースでトナカイを怯えさせたのは、クマやオオカミではなく、人間でした。
その頃はちょうど、トナカイに感染症の予防接種をする直前のことだったそうで、それに危険を感じたトナカイが竜巻行動を始めたといいます。
トナカイは、オスもメスもツノを成長させる唯一のシカ科動物ですが、その目的は異なっています。
オスは主に、捕食者の撃退やライバルのオスとの争いに使い、11月か12月に一度ツノを落とします。
対するメスは、春までツノを維持し、雪かきなどに使っています。
つまり、クリスマスにサンタがお供にするトナカイはすべてメスというわけです。