うつ病は視覚情報の処理に影響を与える
うつ病は視覚情報の処理に影響を与える / Credit:Depositphotos
psychology

うつ病患者には違う世界が見えている 「錯視による視覚テスト」で判明

2021.04.07 Wednesday

うつ病は脳回路の変化と関連しています。

さらに新しい研究では、うつ病が視覚情報の処理にも影響を与えると判明しました。

フィンランド・ヘルシンキ大学の精神医学者Viljami Salmela氏ら研究チームは、うつ病患者の脳が健康な人とは異なったコントラスト処理を行なっていると発表したのです。

研究の詳細は、学術誌『Journal of Psychiatry and Neuroscience』に掲載されました。

Visual Illusion Reveals That Depression Can Change How We Physically See The World https://www.sciencealert.com/study-shows-how-depression-really-does-change-how-we-see-the-world
Reduced visual contrast suppression during major depressive episodes http://jpn.ca/46-2-e222/

錯視画像による視覚テスト

新しい研究では、うつ病患者における視覚情報処理の違いを調べるために2つの視覚テストが行なわれ、うつ病を経験した111人と健康な29人が参加しました。

視覚テストに利用されたのは、2種類の錯視画像です。

(上)明るさ誘導画像 , (下)コントラスト抑制画像
(上)明るさ誘導画像 , (下)コントラスト抑制画像 / Credit:Viljami Salmela

1つ目は、明るさ誘導画像です。

「明るさ誘導」とは、背景の明るさが中心画像の明るさ(知覚輝度)に影響を与える現象です。

図Aと図Bの明るさはまったく同じですが、背景の明るさが異なるため、それぞれが別の明るさだと錯覚します。

暗い背景は中心の明るさを増しますが、明るい背景は中心の明るさを低減させるのです。

2つ目は、コントラスト抑制画像です。

「コントラスト抑制」とは、背景が中心画像のコントラスト(明暗の差)に影響を与える現象です。

図Cと図Dにはそれぞれ暗いラインと明るいラインが交互に入っています。そしてこのコントラストは両方とも同じです。

しかし、図Cは背景ラインも同じ方向なので、中心部のコントラストが抑制されて見えます。

ちなみに背景コントラストは両方とも同じであり、単純にラインの方向が異なるだけです。

研究では、この2つの錯視テストにおける見え方の違いを調査しました。

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