うつ病患者はコントラスト錯視の効果を受けづらい
「明るさ誘導」テストの結果、うつ病患者と健康な人では大きな違いがありませんでした。
健康な人は「図Aの方が明るい」と錯覚しましたが、うつ病患者も同じように錯覚したのです。
ところが、「コントラスト抑制」テストでは、異なった結果が出ました。
健康な人は図Cのコントラストが20%抑制されて見えたのに対し、うつ病患者は5%抑制されるだけでした。
つまり、うつ病患者は健康な人に比べてコントラスト錯覚の影響を受けづらかったのです。
視覚情報を処理するのは大脳皮質です。つまり錯視画像の見え方の違いは大脳皮質の処理の違いを示します。
研究チームは、「うつ病を経験した人は、網膜処理を正常に行なっているが、大脳皮質のコントラスト正常化が変化しているかもしれない」と結論付けています。
ちなみに、このコントラスト抑制の低下はうつ病だけでなく、双極性障害、統合失調症にも同様に見られたとのこと。
これは目と脳による認識の変化が、いくつかの精神疾患に共通することを示唆しています。
今後研究チームは、うつ病によって引き起こされる視覚情報処理の変化について更なる研究を行なう予定です。