月の引力が地球で潮の満ち引きを起こしている。
月の引力が地球で潮の満ち引きを起こしている。 / Credit:canva
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月は年々地球から遠ざかっているらしい。いずれいなくなってしまうの? 地球への影響は? (2/3)

2021.04.10 Saturday

What Will Happen To Ocean Tides When The Moon Moves Away From Earth?(scienceabc) https://www.scienceabc.com/nature/universe/what-will-happen-to-ocean-tides-when-the-moon-moves-away-from-earth.html

月が離れる原因は、自転と公転の速度差

ここでポイントとなるのは、地球の自転速度との公転速度の差です。

地球は誰もが知る通り24時間で1回自転しています。

一方、月は地球の周りを27.3日かけて1周します。

当然のことながら、地球の自転速度のほうが、月の公転速度よりずっと速い状態です。

ここでちょっと困ったことが起こります。

さきほど、地球の海は潮汐力で膨らんでいると話しましたが、この膨らんだ部分は地球の自転が速いために、月の正面よりややズレた位置に移動してしまうのです。

しかし、月と地球の重力的な影響は、この潮汐力で膨らんだ部分で繋がっているので先行した膨らみは月を引っ張ってその公転速度を加速させます

一方、月は膨らんだ海を引っ張って、地球の自転を減速させていきます

地球の海の膨らみと月が繋がっているとイメージすると、両者の自転公転速度の差による影響がわかる。
地球の海の膨らみと月が繋がっているとイメージすると、両者の自転公転速度の差による影響がわかる。 / Credit:scienceabc,訳:ナゾロジー編集部

そう、実は地球は月の影響で自転速度がどんどん減速していて、逆に月は公転速度をどんどん加速させているのです。

この影響で、地球の1日は10万年で1秒ほどの長くなると考えられています。

しかし、月は単純に公転速度を増やしていくことはできません。月が地球から一定距離を保ち続けるためには、安定した公転速度があるのです。

そこで、月は公転速度を上げる代わりに、公転軌道を広げていきます

この現象は、角運動量保存の法則によって説明することができます。

角運動量保存の法則は、フィギアスケートの選手の動きを思い出すとイメージしやすいでしょう。

フィギアスケートの選手は、腕を広げているときはゆっくり回転しているのに、腕を内側に引き込んで体を縮めると、どんどん回転が加速していきます。

選手の腕の位置を、月の公転軌道として考えると、地球に近いほど速く回転して、離れるほどゆっくり回転することになります。

角運動量は回転半径、運動する物体の質量,回転速度の3つの値の積なので、このとき、角運動量は常に一定です。

角運動量保存の法則。フィギアスケートの選手が腕を引き込むと回転速度が上がる。
角運動量保存の法則。フィギアスケートの選手が腕を引き込むと回転速度が上がる。 / Credit:canva,ナゾロジー編集部

つまり、外から力を受けて月の角運動量が増えた場合、物理的には公転速度を増やしても、公転半径を広げても、どっちでもいいのです。

このため、地球の自転に引っ張られた月は、一定の速度で地球の周りを公転し続けるために、軌道を広げる方を選択しました。

こうして月は徐々に地球から離れていくことになったのです。

次ページいずれ月は地球からいなくなってしまうのか?

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