新しい化石ほど「縫合線」は複雑化していた
アンモナイトの出現は恐竜よりも遥か前、約4億年前のシルル紀末までさかのぼります。
それから約3億5000万年の間、世界中の海を漂い、白亜紀末の隕石衝突(約6600万年前)により、恐竜たちとともに姿を消しました。
アンモナイトの貝殻は、内部が「隔壁(septum)」という仕切りによって複数の部屋に分かれています。
この隔壁と殻の接合する部分が「縫合線(suture)」です。
約3億4千万年前の初期の化石を見てみると、縫合線はしごく単純で、曲線部もわずかしかありません。
それが時代の経過とともに複雑さを増していき、絶滅直前の頃には、霜のように入り組んだフラクタル状になっています。
進化の結果、縫合部が複雑化したのなら、何か生存に有利な理由があったはず。
専門家の多くは「隔壁の接合部を複雑化することで、殻の強度を高めたのではないか」と推測しており、現時点ではこれが有力な説となっています。
しかし今回、ユタ大学の研究チームは別の機能を提案しました。
それが「浮力のコントロール」です。