プラスチックを食べられるキノコたち
アメリカ・イェール大学は2011年、研究授業で訪れたアマゾンの熱帯雨林で、「Pestalotiopsis microspora」という珍しいキノコを発見しました。
その後の調査で、このキノコがプラスチック製品の主成分の一つである「ポリウレタン」を食べて成長することや、ポリウレタンを唯一の炭素源として利用することが判明したのです。
さらに、増殖に酸素を必要としない嫌気性だったため、プラスチックの埋立地でも十分に利用できます。


また、2017年の別研究でも、中東・パキスタンの廃棄物処理場でプラスチックを食べる「Aspergillus tubingensis」という真菌が見つかっています。
実験によると、この菌は2ヶ月でプラスチックそのものをコロニー化し、ポリエステルとポリウレタンを細かく分解する酵素を分泌していました。

現在は「マイコレメディエーション」といって、キノコが本来持っている酵素を使ってプラスチックを分解する技術の開発も進められています。
こうした方法は安価で効果的、かつ環境に優しいので、プラスチックを取り除くには最適です。
しかし、これだけ有能であるにもかかわらず、キノコがプラスチック分解に実用化されている話は聞きません。
なぜでしょうか?