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biology

プラスチックを食べられるキノコたち。環境問題の救世主となるか

2021.04.15 Thursday

1950年代にプラスチックの大量生産が始まって以来、人類が生み出したプラスチックは90億トンに達します。

プラスチックには分解されるまでに400年以上かかるものもあり、ゴミとして溜まっていく一方です。

海や川に流出したものは魚たちが食べてしまい、さらにその魚を食べる人間の体内にもマイクロプラスチックが見つかり始めています。

このままでは地球がプラスチックまみれになってしまうかもしれません。

その中で今、専門家らが救世主として注目しているのが「キノコ」です。

Could Plastic-Eating Mushrooms Solve Humanity’s Plastic Problem? https://interestingengineering.com/could-plastic-eating-mushrooms-solve-humanitys-plastic-problem?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=14042021

プラスチックを食べられるキノコたち

アメリカ・イェール大学は2011年、研究授業で訪れたアマゾンの熱帯雨林で、「Pestalotiopsis microspora」という珍しいキノコを発見しました。

その後の調査で、このキノコがプラスチック製品の主成分の一つである「ポリウレタン」を食べて成長することや、ポリウレタンを唯一の炭素源として利用することが判明したのです。

さらに、増殖に酸素を必要としない嫌気性だったため、プラスチックの埋立地でも十分に利用できます。

Pestalotiopsis microspora
Pestalotiopsis microspora / Credit: yupthatexists
ポリウレタンを分解したキノコ菌(イェール大学の実験)
ポリウレタンを分解したキノコ菌(イェール大学の実験) / Credit: nhregister

また、2017年の別研究でも、中東・パキスタンの廃棄物処理場でプラスチックを食べる「Aspergillus tubingensis」という真が見つかっています。

実験によると、この菌は2ヶ月でプラスチックそのものをコロニー化し、ポリエステルとポリウレタンを細かく分解する酵素を分泌していました。

Aspergillus tubingensis
Aspergillus tubingensis / Credit: Bioimágenes

現在は「マイコレメディエーション」といって、キノコが本来持っている酵素を使ってプラスチックを分解する技術の開発も進められています。

こうした方法は安価で効果的、かつ環境に優しいので、プラスチックを取り除くには最適です。

しかし、これだけ有能であるにもかかわらず、キノコがプラスチック分解に実用化されている話は聞きません。

なぜでしょうか?

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