誰もつけ忘れず、違和感なく肌に張り付いているもの
スマートテキスタイルは、着用者の心拍、体温、消費カロリーなどさまざま生体情報を取得する布地です。
スマートテキスタイルで作られた衣類を着ていれば、常時その人の健康状態をモニターすることができます。
アップルウォッチが、心拍や血中酸素、睡眠状態などをモニタリングしてくれるという機能を搭載していますが、いずれは着ている服自体が、それをしてくれるようになるのです。
現在でも、運動用のシャツなどでスマートテキスタイルが使われた商品が販売されたりしています。
しかし、将来的には、着用者の状態を監視することで、お年寄りが転んでしまったなどの状況を読み取り助けを呼ぶなどの利用も検討されています。
そうなったとき重要なのが、つけ忘れたりせず、身につけているという違和感もないウェアラブルデバイスを開発することです。
スマートテキスタイルは、その性質上、ピッタリと肌にフィットしている必要があります。
腕時計やリストバンドのような形態は、そのために理想的ですが、これはつけ忘れることもあるかもしれません。
そこで着目されているのが、下着にスマートテキスタイルを使うというものです。
確かに、下着ならつけ忘れる人は普通いないでしょう。
しかも、パンツやブラといった下着は、基本的に肌にピタリとフィットさせて着用するものです。
まさに理想的というわけです。
スマートテキスタイルを扱う企業のMyantはこうしたスマート下着の開発に乗り出しています。
下着を通して、心拍数、ストレスレベル、体温、その人の活動状態などを監視し、専用アプリに情報を送信するというのがこのシステムの概要です。
肌を通してどれだけの情報が取得できるのか? と疑問に感じる人もいるかもしれませんが、これは意外と多くのことを知ることができます。
高速道路の海老名サービスエリアには、座ると便座がお尻の肌を通してドライバーの疲労状態を測定してくれるトイレというものもあるそうです。
スマート下着が実現すれば、ストレスレベルが上がった時にリラックスできる音楽を自動で再生するとか、体が冷えてきたら空調を入れて部屋の温度を上げる、脱水状態を検知したら水を提供する、というプログラムを用意することもできます。
また、活動状態も監視できるため、長時間動かなくなった、滑って転んだなどの状態も取得することが可能です。
これはお年寄りなどが散歩に行って、途中で動けなくなってしまったなどのトラブルを家族が素早く察知するために役立つと考えられます。
これは高齢化が進む日本でも、重要なアイテムになるかもしれません。
「おじいちゃん! ちゃんとリストバンドつけてっていったでしょ!」とならないためにも、スマート下着は重要な技術になるでしょう。
下着をつけ忘れちゃう、という人については、どうしたら良いかわかりませんが…。