過去の研究は「尻尾の動き」が考慮されていなかった
肉食恐竜の中で最大級のTレックスは、約6800万〜6600万年前の白亜紀末にかけて、現在のアメリカ西部に生息していました。
成体になると、体長約12メートル、高さ約3.6メートル、体重約5000~7000キロに達します。
では、それほど巨大なTレックスはどれほどの速さで移動できたのでしょうか。
これまでの研究は主に、Tレックスの体重と歩幅、腰の高さに焦点を当てることで、歩行速度を時速7.2~10.8キロと予測しています。

一方で、この数値は「尻尾」の役割を考慮していません。
研究主任のパシャ・ファン・ベイレルト氏は「Tレックスの尻尾は、あらゆる面で彼らの行動に欠かせないものでした。それはバランスをとるだけでなく、体を前進させるために必要な力を作り出します。
これは尾にある2つの大きな筋肉(尾骨筋)が担っており、一歩ごとに脚を後方に引っ張ることで推進力を生み出していたのです」と説明します。
そこでチームは、尾の垂直方向の動きが果たす役割に注目して研究を開始しました。