歩く速度は5キロ弱、人でも簡単に撒けた?
今回、Tレックスのモデルとして使われたのは、ナチュラリス生物多様性センター(オランダ)が所蔵する「トリックス(Trix)」という成体の標本です。
二足歩行のTレックスにおいて、尾は受動的に宙に浮いているだけでなく、歩行時に能動的に上下(垂直方向)に揺れていたと考えられます。
尻尾が固有振動する(=外からの力を加えることなく、自然に揺れる)と、伸縮性のある尾骨筋を介してエネルギーを蓄えたり放出したりします。
チームはこれを踏まえた上で、トリックスの尾骨をスキャンし、尾骨筋を含む尾部の生体力学モデルを作成しました。
さらに、トリックスの歩幅を1.9メートルと算出し、尻尾のモデルと合わせて歩行速度を計測。
その結果、トリックスの歩行速度は時速4.6キロだったと判明したのです。
尾骨(筋)の動きに関するいくつかのパターンに応じて、多少の誤差は生じましたが(時速2.88~5.9キロ)、全体としては時速5キロ弱と、予想よりかなり遅いものでした。
これだと乗り物を使わずとも簡単に撒くことができたかもしれません。
ただし、歩行速度と走るスピードはまた別の話です。
今のところ、Tレックスの走行速度は時速16〜40キロとされていますが、尻尾の運動も合わせると変動する可能性も十分あります。
研究チームは今後、走行速度について調査を進めていく予定ですが、もし走るのも遅いようなら、映画での描き方も変わってきそうです。
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