紫は非スペクトル色である
紫は非スペクトル色である / Credit:Depositphotos
physics

「紫」は他の全ての色と物理的な意味で異なる

2021.05.10 Monday

2021.05.04 Tuesday

私たちの目に映る世界はカラフルです。

さまざまな色を知覚できるのは、光が物体に当たったあと、その一部が反射して目の中に入ってくるからです。

リンゴの表面は長い波長を反射し、その他を吸収するため、結果として「赤く」見えます。その他の色も基本的に同じ仕組みです。

ところが「紫(パープル)」だけは、物理的な意味で他の全てと異なっています。

ここでは「非スペクトル色」である紫を私たちがどのように知覚しているのか解説します。

The color purple is unlike all others, in a physical sense https://www.zmescience.com/science/color-purple-non-spectral-feature/

紫(パープル)は存在しない色だった!?

実は、紫には2種類の表現用語があります

大抵の場合、それぞれを区別するために、片方を紫またはパープル(英訳:purple)、もう片方をすみれ色またはヴァイオレット(英訳:violet)と呼びます。

外側:パープル, 内側:ヴァイオレット
外側:パープル, 内側:ヴァイオレット / Credit:Daily Rectangle

ちなみに赤みがかった紫がパープルであり、青みがかった紫がヴァイオレットと区別されることが多いです。

この2つの紫は似ているようで、メカニズムが全く異なっています。

まずヴァイオレットについて考えてみましょう。

ヴァイオレットは赤や青、緑と同じように単一の波長をもっています。

可視スペクトルで表現すると、画像の左端の紫がヴァイオレットであり、青や赤などもそれぞれの波長に対応しています。

可視光スペクトル
可視光スペクトル / Credit:zmescience

ですからヴァイオレットは他の色と同じように、特定の波長だけを反射する物体によって、そのまま認識できます。

この可視光スペクトルを見ると、一般的に混ぜて作られるオレンジや緑といった色が、それぞれ原色の中間に位置していると分かります。

赤と黄の中間がオレンジであり、青と黄の中間が緑ですね。

では、赤と青の中間は紫になりますか?

可視光スペクトルを見ても中間位置には紫が存在しません。ヴァイオレットが左端にあるだけです。

同じ紫でも赤と青を混ぜた色である「パープル」は、この可視光スペクトルの中に存在しないのです。

それゆえ、パープルは「非スペクトル色」と呼ばれています。

では私たちは単体の波長をもたないパープルをどのように知覚しているのでしょうか?次項で解説します。

次ページ脳は2つの刺激を組み合わせて紫を創っている

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