起きたまま脳に電極を刺す手術が行われ強迫性障害を治療することに成功! 左2枚は脳深部刺激療法(DBS)の代表的な画像で、右の1枚は別タイプのEEGと呼ばれる脳の刺激法
起きたまま脳に電極を刺す手術が行われ強迫性障害を治療することに成功! 左2枚は脳深部刺激療法(DBS)の代表的な画像で、右の1枚は別タイプのEEGと呼ばれる脳の刺激法 / Credit:drkhalidmahmood . MDPI
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「患者が起きたまま脳に電極を刺し」強迫性障害を治療することに成功

2021.04.27 Tuesday

OCD patients with psychiatric comorbidities can benefit from deep brain stimulation https://www.news-medical.net/news/20210331/OCD-patients-with-psychiatric-comorbidities-can-benefit-from-deep-brain-stimulation.aspx
Deep Brain Stimulation for Obsessive-Compulsive Disorder: Real World Experience Post-FDA-Humanitarian Use Device Approval https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8044872/

脳に電極を刺すことで複数の精神障害が同時に回復したようです。

3月24日に『Frontirs in Psychiatry』に掲載された論文によれば、脳内に埋め込んだ電極で、脳深部にある領域の働きを抑制することに成功。さらに強迫性障害を治療し、うつ症状や不安も軽減することに成功したとのこと。

また手術が行われた5人のうち3人は、意識のある状態で電極を刺し、刺された際の感想をリアルタイムで聞かれたそうです。

いったいどのような手術が行われたのでしょうか?

脳に電極を刺して異常回路を遮断する

上段が代表的な脳深部刺激療法(DBS)で下段が前回の研究の基礎となったステレオEEG技術。単純な抑制を目的にしたDBSはEEGにくらべて簡素な電極が用いられているのがわかる。
上段が代表的な脳深部刺激療法(DBS)で下段が前回の研究の基礎となったステレオEEG技術。単純な抑制を目的にしたDBSはEEGにくらべて簡素な電極が用いられているのがわかる。 / Credit:drkhalidmahmood . MDPI . Consult QD . brianlab

は無数の神経回路から構成される電気的な器官です。

神経回路がつながり活性化すると健康な人間は快楽を得たり、苦しみを感じたりします。

一方、強迫性障害の患者は、特定の回路が異常活性化し、刺激が何度も繰り返されます。

その結果何度も鍵の閉め忘れが気になったり、汚れが気になって手を洗い続けるなどの症状が現れるのです。

そのためかつては、異常を起こしている回路ごと、脳の一部を切り取るという、ロボトミー的な手術が行われてきました。

しかし脳の切除はたとえごく一部であったとしても、後戻りのできない変化を精神に与えてしまうことが問題視されています。

そこで近年アメリカなどでは、異常を起こしている回路の封鎖手段として、脳に刺し込んだ電極による脳深部刺激療法(DBS)が注目されるようになってきました。

電極から放たれる電撃が脳細胞をある種の麻痺状態にすることで、神経回路を遮断して、強迫的な行動を抑制するのです。

ただ問題は、電極を埋め込む位置でした。

人間の脳は個人差が非常に大きい臓器であるため、最適な刺激位置は患者ごとに異なります。

そこで今回、研究者は意識のある状態で患者の脳を開く手術を行いました。

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