情報化社会では新たな学術的発見もネットの中に潜んでいるかもしれない
情報化社会では新たな学術的発見もネットの中に潜んでいるかもしれない / Credit:canva
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一般人のTwitter写真をきっかけに「新種のダニ」発見、学名に「twitter」

2021.05.11 Tuesday

誰もが気軽にカメラを持ち歩き、即座にネット上に投稿できる現代、新種の生物発見はネットの中で起きることもあるようです。

法政大学の生物学者、島野智之教授は、銚子市で釣りをしていた会社員がTwitterに投稿した写真から、新種の海岸性ダニを発見したと論文で発表しました。

この新種ダニの学名は、Twitterが発見のきっかけとなったことから「Ameronothrus twitter(アメロノトルス・ツイッター)」と名付けられるそうです。

この研究は、日本動物分類学会の国際科学雑誌『Species Diversity』で3月22日に発表されています。

法政大学島野教授がTwitterの一般ユーザ投稿写真から偶然新種の海岸性ダニ類を発見.学名はTwitterに由来.(法政大学) https://www.hosei.ac.jp/press/info/article-20210322152102/
Ameronothrus twitter sp. nov. (Acari, Oribatida) a New Coastal Species of Oribatid Mite from Japan https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/26/1/26_260113/_article/-char/en

南限を超えて発見されたダニ

今回報告されたのは、ハマベダニ属の新種です。

発見者は、千葉県松戸市に住む会社員の根本崇正氏。

根本氏は当時、休暇を利用して千葉県の銚子外港に釣りに来ていたといいます。

ただ、あまり釣れなかったため、暇を持て余して趣味の節足動物の写真を撮影してツイートしていたとのこと。

新種ダニの発見された千葉県銚子外港の位置
新種ダニの発見された千葉県銚子外港の位置 / Credit:google

そこに写っていたのが、実は新種の生物だったのです。

法政大学の島野教授は、偶然このツイートを発見。

それがハマベダニ属の新種であることに気づいたそうです。

島野教授の研究チームは、2019年に日本で初めてハマベダニ属のダニを北海道から新種記載していますが、この生物は東アジアでは北海道より南では見つかっていませんでした

つまり北海道が、この生物の地理的分布の南側の限界(南限)と考えられていたのです。

しかし、根本氏が撮影したハマベダニはそれよりさらに南の千葉県銚子で撮影されたものでした

また画像は、既知種と形態が微妙に異なっており、このことから島野教授はこれが新種ではないかと考えたのです。

次ページTwitterが新種発見の目になるかもしれない

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