数キロ先の仲間とも「おしゃべり」できた⁈
新種の化石は2013年に、メキシコ北部コアウイラ州にて尻尾の部分が発見されました。
その後も発掘を続けた結果、今日までに、頭蓋骨の約80%、大腿骨、肩の骨が良好な状態で出土しています。
頭蓋骨には、中が空洞になっている長さ1.32メートルのトサカが確認されました。
トサカの内部には多数の通路があり、鼻や気管につながっていることから、音を出す機能があったと見られます。
研究主任のアンヘル・アレハンドロ・ラミレス氏は「このトサカを使って、数キロ先まで伝わるよな低周波音を出し、仲間とコミュニケーションを取っていた」と指摘します。
これと同じ方法は現生のゾウにも見られ、彼らは人には感知できない低周波音を駆使して、10キロ先の仲間とも会話できるのです。
一方で、ラミレス氏は「仲間との平和的なおしゃべりの他に、敵を追い払うような大きな音も出していたでしょう」と述べています。
新種の生存年代は、約7200〜7300万年前で、学名は「Tlatolophus galorum」と命名されました。
Tlatolophusは、メキシコ先住民の言語であるナワトル語で「言葉」を意味する「Tlahtolli」と、ギリシャ語で「トサカ」を意味する「lofus」から来ています。
全長はまだ計測中ですが、尻尾だけで6メートル近くあるため、全体では10〜12メートルに達するはずです。
また研究チームは、新種の保存状態がメキシコでは例外的に良かったことに驚いています。
ラミレス氏は「おそらく、この個体は堆積物の多い水域で死亡し、何らかの出来事ですぐに体が土に覆われたため、綺麗に保存されたのでしょう」と推測します。
どんな出来事が起こったのかはまだ不明であり、この恐竜もおしゃべりとは言え、何も語ってくれてはいないようです。