右端が絶滅したと思われていたドワーフ・エミューの卵
右端が絶滅したと思われていたドワーフ・エミューの卵 / Credit: Julian P. Hume et al., Biology Letters(2021)
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絶滅したはずの「ドワーフ・エミューの卵」が約200年ぶりに見つかる!(オーストラリア)

2021.05.27 Thursday

絶滅したと思われていたドワーフ・エミューの卵が見つかりました。

卵はオーストラリア・タスマニア州に属するキング島(King Island)で発見され、最後の目撃以来、約200年ぶりのことです。

研究は、5月26日付けで『Biology Letters』されています。

An almost complete extinct dwarf emu egg found on King Island https://phys.org/news/2021-05-extinct-dwarf-emu-egg-king.html Paleontologists Find First Complete Egg of Extinct King Island Dwarf Emu http://www.sci-news.com/paleontology/king-island-dwarf-emu-egg-09698.html
Eggs of extinct dwarf island emus retained large size https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2021.0012

島固有のエミューの卵を約200年ぶりに発見!

エミューは、ヒクイドリ目ヒクイドリ科エミュー属の鳥類で、二足歩行のいわゆる「飛べない鳥」です。

現在は、オーストラリア本土の1種(Dromaius novaehollandiae)のみが現生するとされています。

かつては本土周辺の3つの島、タスマニア島・カンガルー島・キング島のそれぞれに亜種のドワーフ・エミュー(本土より小さなエミュー)がいましたが、19世紀初頭のヨーロッパ人の入植と同時に姿を消しました。

タスマニア島では1850年、カンガルー島では1830年、キング島では1805年を境にドワーフ・エミューが見られなくなっています。

しかし、その後の調査で、タスマニア島とカンガルー島からは数個の卵が発見され、わずかながら生き残っていることが示唆されました。

その一方で、キング島からは今日まで、一切の卵が見つかっていなかったのです。

そこで、ロンドン自然史博物館のジュリアン・ヒューム氏とキング島研究者のクリスチャン・ロバートソン氏が共同で、卵の探索を開始。

その結果、キング島の砂丘の中で、島固有のドワーフ・エミューの卵が約200年ぶりに再発見されたのです。

一番右端がキング島のエミューの卵
一番右端がキング島のエミューの卵 / Credit: Julian P. Hume et al., Biology Letters(2021)

今回の調査では他に、本土で38個、タスマニア島で6個の卵が見つかっています。

上の画像の左から、本土、タスマニア島、カンガルー島、キング島の卵です。

殻を採取したところ、キング島の卵はほぼ完全な状態まで復元でき、両氏は非常に貴重な標本を手に入れたと考えています。

分析の結果、キング島のエミューは本土の現生種より44%ほど体長が小さいことが示唆されましたが、卵のサイズ自体はほぼ同じでした。

本土のエミューは体高1.6〜2.0メートル、体重40〜60キロですが、キング島のエミューは成鳥でもその半分くらいと推測されます。

現生種のエミューの卵
現生種のエミューの卵 / Credit: Wikimedia
キング島のドワーフ・エミューのイメージ画
キング島のドワーフ・エミューのイメージ画 / Credit: Julian Hume

体長の割に卵が大きい理由について、両氏は「島の厳しい環境に耐えるため」と指摘。

「卵が大きければ、孵化後も自分で食料を調達できるようになるまで、殻の中に閉じこもって入られます。また、島の夜の寒さをしのぐ保温効果もあるでしょう」と説明しました。

実際の姿はまだ見つかっていませんが、今も島のどこかでひっそり暮らしているのかもしれません。

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