知覚力は人よりカケスの方が上?
カケスへのマジックは、研究チームの認知科学者で、同時にプロのマジシャンでもあるエリアス・ガルシア=ペレグリン氏が担当しました。
カケスに試すのは、エサを片方の手からもう片方の手に移動させるマジックで、どちらの手にあるかを見抜けた場合に報酬としてエサが与えられます。
実験では、パルムトランスファー、フレンチドロップ、ファストパスと呼ばれる3つのスタンダードなトリックを使いました。
最初の2つは、比較的ゆっくりとエサを移動させるもので、3つ目のファストパスは、観察者が知覚できないスピードで移動させるものです。
こちらが各手法を用いた実験の様子。
6羽のカケスを対象に複数回の実験をした結果、パルムトランスファーを60%、フレンチドロップを70%の確率で見抜くことに成功しています。
一方で、ファストパスの場合は、正答率が26%に下がっていました。
比較実験として、カケスに試したマジックの映像を(カケスの部分は隠して)16〜60歳の一般人80名に見せて同様のテストをしたところ、3つのトリックの平均正答率は13〜27%でした。
結果だけを見ると、物の移動を見抜く知覚力は、人よりカケスの方が優れていると考えられます。
今回はマジックをかけられる側でしたが、実はカケスも手品を使って仲間を欺く習性があります。
例えば、カケスは、収穫した木の実をある場所に隠す姿を仲間に見せておきながら、実際は自分の喉元にあるポーチに隠したりするのです。
ガルシア=ペレグリン氏は「この手法は私たちマジシャンが使うものと驚くほど一致している」と評します。
しかし、マジックには慣れているはずのカケスもファストパスには面食らったことでしょう。