重水が細胞活動を遅延させる
重水が細胞活動を遅延させる / Credit:Leipzig University
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細胞の時間を遅らせる方法がみつかる、重水に浸すだけ (2/3)

2021.06.07 Monday

前ページ水とは性質の異なる「重水」に浸す

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重水の水素結合が細胞活動を遅延させる

細胞の増殖は、重水により大幅に減速した
細胞の増殖は、重水により大幅に減速した / Credit:Jörg Schnauß et al., Advanced Materials(2021)

研究チームがスローモーション効果をさまざまな方法で確認したところ、この効果は、構造タンパク質間の相互作用の増加に起因するとのこと。

そもそもタンパク質はすべての生物がもつ分子であり、さまざまな結合力が働くことでその構造や機能が維持できます。

そしてその結合力には「水素結合」も含まれています。

これは水などがもつ分子間で引き合う力のことです。

重水には、「水よりも強い水素結合を形成する」という性質があります。

では、水素結合でバランスを保っているタンパク質を、強い水素結合ばかりの環境(重水)に浸すなら、どうなるでしょうか?

当然そのバランスは崩れ、タンパク質の機能に変化があるはずです。

実際研究では、重水で浸したアクチン筋肉を構成する主要タンパク質の一種)などの構造タンパク質がより強く相互作用し、短時間でくっついてしまいました。

結果として細胞活動がスローモーションになり、「細胞の時間が遅れた」のです。

次ページ遅延効果は可逆性あり!臓器移植に役立つかも!

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