メキシコサラマンダーの幼形成熟個体、通称ウーパールーパー
メキシコサラマンダーの幼形成熟個体、通称ウーパールーパー / Credit:depositphotos
biology

ヒトも手足の再生能力を持つ可能性がウーパールーパーから見つかる

2021.06.09 Wednesday

MDI Biological Laboratory Scientist Identifies Signaling Underlying Regeneration(MDI Biological Laboratory) https://mdibl.org/press-release/mdi-biological-scientist-identifies-signaling-underlying-regeneration/
Distinct toll-like receptor signaling in the salamander response to tissue damage https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dvdy.340

人間を含む哺乳類にとって、手足を失うという出来事は、二度ともとに戻すことのできない大怪我です。

しかし、サンショウウオは手足を失っても、容易に再生することができます。

同じ生き物でありながら、この違いはなんなのでしょう? なぜサンショウウオには手足が再生できて人間にはできないのでしょうか?

米国メイン州バー・ハーバーのMDI生物学研究所(MDI Biological Laboratory)の研究チームは、サンショウウオでは再生が促進され、マウスでは再生が阻害される分子シグナルの違いを発見し、この謎の解明に一歩近づいたと報告しています。

哺乳類とサンショウウオの再生能力の違いがなぜ起きるか理解できれば、人間の手足を再生させることも可能になるかもしれません。

傷跡が再生を妨げる

今回の研究で比較対象となったのは、再生能力が高いサンショウウオの「アホロートル(axolotl)」です。

アホロートルはメキシコサンショウウオなどの「幼形成熟」個体(体は幼形のまま生殖機能だけ成熟して繁殖可能になった個体)の総称で、日本では一般的に「ウーパールーパー」の名で知られています

哺乳類の代表はマウスです。

哺乳類は体の一部を失ったり大きく損傷した場合、そこを再生する代わりに傷跡を形成します。

この傷跡は再生を妨げる物理的な障壁となります

一方、アホロートルは体の一部を失う怪我をしても傷跡を形成しません

怪我をしたときのこの体の反応の違いこそが、欠損した体を再生させる能力解明の重要な手がかりです。

今回の研究チームを率いたMDI生物学研究所のジェームズ・ゴドウィン(James Godwin)博士は、「瘢痕(はんこん:傷跡のこと)形成の問題を解決できれば、人間の潜在的な再生能力を引き出すことができるかもしれません」と語ります。

ウーパールーパーの入った水槽を持つジェームズ・ゴドウィン博士
ウーパールーパーの入った水槽を持つジェームズ・ゴドウィン博士 / Credit: MDI Biological Laboratory

アホロートルは傷跡を残さないため再生が可能です。

1度傷痕ができてしまうと、再生という観点においてはゲームオーバーになってしまいます。

つまり、目指すべきは、人間の傷痕形成を防ぐことなのです。

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