かつて存在した世界最大の湖「パラテチス海」
かつて存在した世界最大の湖「パラテチス海」 / Credit: Sid Perkins(Science)-The rise and fall of the world’s largest lake(2021)
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イタリアからカザフスタンまで広がっていた地球最大の湖「パラテチス海」消滅の謎

2021.06.12 Saturday

Ancient ‘Megalake’: The Largest Lake Ever Held 10 Times The Water of All Lakes Today https://www.sciencealert.com/new-study-charts-the-rise-and-fall-of-eurasia-s-ancient-megalake The rise and fall of the world’s largest lake https://www.sciencemag.org/news/2021/06/rise-and-fall-world-s-largest-lake
Late Miocene megalake regressions in Eurasia https://www.nature.com/articles/s41598-021-91001-z Neogene hyperaridity in Arabia drove the directions of mammalian dispersal between Africa and Eurasia https://www.nature.com/articles/s43247-021-00158-y

今から約1200万年前、大陸プレートの衝突によって、ヨーロッパ中央に地球史上最大の湖ができました。

これを「パラテチス海(Paratethys sea)」といいます。

すでに消失したこの湖には、世界最小のクジラをはじめ、独自の生態系が築かれていました。

そして今回、国際研究チームの最新調査により、湖が消滅した経緯や、その後の生態系への影響などが明らかになったとのこと。

パラテチス海は、いかに栄え、いかに消えていったのでしょうか。

研究は、6月1日付けで『Scientific Reports』に掲載されています。

水量は現存する全湖の10倍以上

パラテチス海は、世界地図で表すと、イタリア上部のアルプス山脈〜中央アジアのカザフスタンまで広がっていました。

その大きさは、280万平方km以上とされており、地中海の面積を凌ぎます

また、今日最大の湖であるカスピ海が約37万4000平方kmであることを踏まえると、その大きさが分かるでしょう。

さらに、パラテチス海の最盛期には177万立方kmを超える水が存在したと推定されており、これは現存するすべての湖を合わせた水量の10倍以上に相当します。

最盛期は地中海(250万平方km)より大きかった
最盛期は地中海(250万平方km)より大きかった / Credit: Sid Perkins(Science)-The rise and fall of the world’s largest lake(2021)

研究チームは、パラテチス海の移り変わりを調べるため、既知の地質学的記録や化石記録を総合し、分析しました。

その結果、湖は誕生から消滅までの約500万年の間に、気候変動が原因で4回ほど劇的に縮小していたことが分かったのです。

790万〜765万年前には水位が250mも低下し、最大縮小時には、3分の1の水量と3分の2以上の表面積が失われていました。

それにより、パラテチス海の西部(今日の黒海あたり)の塩分濃度が、海水の3分の1から同等のレベルまで急上昇したと考えられています。

この変化が原因となって、湖にいた藻類や微生物、その他、多くの水棲生物が絶滅しました。

その一方で、縮小した湖に適応した生物たちもいたようです。

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