超大質量ブラックホールはエネルギー粒子の流出ジェットを放つ
超大質量ブラックホールはエネルギー粒子の流出ジェットを放つ / Credit:NASA/JPL-Caltech
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3000光年寄り道した光から「超大質量ブラックホールの最後の輝き」を捉える

2021.06.12 Saturday

最期を迎えた超巨大ブラックホールの発見 3000光年寄り道した光が捉える超巨大ブラックホールの最期の輝き(東北大学) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/06/press20210608-01-arp187.html

活動銀河核(AGN)と呼ばれる超大質量ブラックホールは、周囲に巻き込んだ降着円盤から物質を飲み込んで成長していく非常に明るい天体の1つです。

そんなAGNもいずれはその激しい活動を終えることになりますが、いつ終焉を迎えるかはわかっておらず、終焉の瞬間を観測した例もありませんでした。

しかし東北大学の研究チームは、今回「Arp187」という天体に着目し、AGNが作る3000光年に及ぶ電離領域を鏡として利用することで、3000年前に活動を終えたAGNの最後の輝きを捉えることに成功したと報告しています。

これは死にゆく活動銀河核の最後の瞬間を捉えた非常に珍しい例です。

この研究成果は、2021年6月に開催された、アメリカ天文学会年会で発表されます。

超大質量ブラックホールの死の瞬間

活動銀河核の1種「クエーサー」のイメージイラスト。AGNは周囲のガスや塵がブラックホールに落下したとき大量のエネルギーが放出され輝いている。
活動銀河核の1種「クエーサー」のイメージイラスト。AGNは周囲のガスや塵がブラックホールに落下したとき大量のエネルギーが放出され輝いている。 / Credit: NASA, ESA and J. Olmsted (STScI)

強力なエネルギーを放出して明るく輝く超大質量ブラックホールを活動銀河核(AGN)と呼びます。

宇宙でもっとも明るい天体と呼ばれるクエーサーも活動銀河核の1種と考えられています。

ブラックホールそのものは強力な重力さえ吸い込んでしまうので、直接輝くことはありません。

しかし、ブラックホールの周りに物質(ガスや塵)が落下すると、それは重力エネルギーを開放して、強烈な光を放ちます

天文学者は、こうした活動銀河核の輝きを見ることで、超大質量ブラックホールがどのように成長(質量の増加)していくかを研究することができるのです。

宇宙で発見される超大質量ブラックホールは、太陽質量の100万倍~100億倍もあるものが確認されています。

太陽の100億倍というは途方もない大きさですが、無限に巨大化したブラックホールというものは見つかっていません。

そのため、いずれは超大質量ブラックホールも、その激しい活動を終えるときが来ると考えられます。

しかし、いったん活動を終えてしまえば、ブラックホールは急激にその輝きを失って観測不可能となってしまうため、その瞬間を捉えることは非常に困難です。

活動銀河核の終焉は、未だよくわかっていない、天文学の解くべき謎の1つなのです。

けれど今回、その困難な観測を実現させる新たな研究が登場しました。

東北大学学際科学フロンティア研究所の市川幸平助教らの研究チームは、活動銀河核が作り出す周辺の環境の変化をうまく利用することで、「死につつある活動銀河核」を発見し、その終焉の瞬間を観測することに成功したのです。

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