ツマジロスカシマダラ(学名:Greta oto)
ツマジロスカシマダラ(学名:Greta oto) / Credit:Depositphotos
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「透明な羽をもつチョウチョ」ガラスのような羽の作り方が明らかに (3/3)

2021.06.13 Sunday

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羽の表面には光反射防止のナノ構造とワックス層があった

ツマジロスカシマダラがもつ反射防止システムは1つだけではありません。

羽の表面にある「反射防止のナノ構造」も透明性を作り出していました。

例えば「コンフサトンボマダラ(学名:Methona confusa)」の羽はツマジロスカシマダラと同じ成分で構成されていますが、表面はフラットであり、光に対して高い屈折率をもちます。

そのため羽は「やや透明」です。

(上)やや透明な羽をもつコンフサトンボマダラ, (下)高い透明度を誇るツマジロスカシマダラ
(上)やや透明な羽をもつコンフサトンボマダラ, (下)高い透明度を誇るツマジロスカシマダラ / Credit:Aaron F. Pomerantz(MBL)-Developmental, cellular and biochemical basis of transparency in clearwing butterflies(2021)

しかし、ツマジロスカシマダラの表面には細かい凹凸があり、これによって光の反射が制限されます。

羽に当たる光が、そのまま背後に通過するようになっているのです。

加えて、ツマジロスカシマダラの羽の表面には特殊なワックス層があり、反射防止特性をさらに向上させていました。

つまりツマジロスカシマダラは、3種類の反射防止構造のおかげで、非常に高い透明度を獲得していたのです。

私たち人間は、透明な材料を作ったり、反射防止コーティングを見つけたりするたびに大喜びしてきましたが、蝶はずっと前からその方法を知っていたのですね。

ポメランツ氏が指摘するように、「自然界に存在するナノ構造へのさらなる理解は、今後も私たちの技術を向上させていく」でしょう。

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