ケープミツバチ
ケープミツバチ / Credit:Depositphotos
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単為生殖でクローン繁殖するミツバチが見つかる

2021.06.14 Monday

蜜を集める働きバチはパートナーなしで子孫を生み出せます。

これは単為生殖と呼ばれる繁殖方法ですが、「遺伝子の組み換え」が行われる場合があり、親とは別の個体が生まれます。

ところが、オーストラリア・シドニー大学(University of Sydney)に所属する生物学者ベンジャミン・オールドロイド氏ら研究チームは、南アフリカに生息するケープミツバチ(学名:Apis mellifera capensis)が単為生殖でほぼ完ぺきなクローンを生み出していたことを発見しました。

研究の詳細は、6月9日付の科学誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。

South African worker honeybees reproduce by making near-perfect clones of themselves https://phys.org/news/2021-06-south-african-worker-honeybees-near-perfect.html
Adaptive, caste-specific changes to recombination rates in a thelytokous honeybee population https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.0729

ミツバチは単為生殖の欠点を抱えている?

これまでの研究により、ミツバチ種は「オスとメスによる有性生殖」と「メスだけの単為生殖」の両方が可能だと分かっています。

そして女王バチだけがオスと有性生殖を行い、働きバチ(すべてメス)は単為生殖を行うようになります。

オスとメスによる有性生殖は、互いの遺伝子を半分ずつ組み合わせるため、多様性を生み出すというメリットがあります。

ケープミツバチ
ケープミツバチ / Credit:Discott_ケープミツバチ(Wikipedia)

では単為生殖とは、分裂して自分のクローンを生み出す「無性生殖」のことなのでしょうか?

必ずしもそうではありません。

単為生殖では、「自分の半分の遺伝子」と「自分の半分の遺伝子」を組み合わせた「遺伝子の組み換え」が行われる場合があるからです。

本来であればパートナーと組み合わせるはずの遺伝子を自分の遺伝子と組み合わせてしまうのです。

つまり一部の単為生殖は単なるクローン生成ではなく、「自分と自分の近親交配」なのです。

そのため、パートナー不要で効率的ですが、クローンを生成する無性生殖のデメリットとはまた別の問題(先天性欠損症、生殖不可など)が生じていくのです。

このように単為生殖は子孫を残す方法として不完全であり、ミツバチはこの欠点を抱えていると考えられてきました。

ところが、新しい研究では従来の認識を覆す事実が発覚しました。

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