世界最小のコンピューターを背負うカタツムリ
世界最小のコンピューターを背負うカタツムリ / Credit: Inhee Lee-University of Michigan(2021)
animals plants

カタツムリに「世界最小のコンピュータ」を背負わせ、ナゾだった天敵回避法を解明 (2/2)

2021.06.16 Wednesday

前ページなぜ肉食カタツムリを持ち込んだのか?

<

1

2

>

生き残りの秘訣は「太陽光」

世界最小のコンピュータ「Michigan Micro Mote(M3)」は、2014年に同大学の電気工学・コンピュターサイエンス科のチームによって開発されました。

サイズは2.2 × 4.8 × 2.4mmで、カタツムリの殻に載せられるほどの小ささです。

M3
M3 / Credit: University of Michigan Engineering-Michigan Micro Mote (M3) makes history as the world’s smallest computer(2015)

M3には、極小の太陽電池を用いてバッテリーを充電するシステムがあります。

研究チームは、この充電速度を指標にすることで、光量を測定できることに気づきました。

その後、地元ミシガンのカタツムリでの実用テストを経て、2017年にソシエテ諸島で実験を開始。

比較的大きなロージー・ウルフ・スネイルには、殻に直接M3を貼り付けましたが、シロポリネシアマイマイは保護種であるため、直接は貼り付けられません。

シロポリネシアマイマイは夜行性で、日中は葉の下にくっついているため、チームはその葉の表と裏にM3を設置しました。

この小ささ
この小ささ / Credit: Inhee Lee-University of Michigan(2021)
シロポリネシアマイマイの真横に設置
シロポリネシアマイマイの真横に設置 / Credit: Inhee Lee-University of Michigan(2021)

1日の終わりに、両種に設置したM3から無線で受光量のデータをダウンロードしました。

その結果、シロポリネシアマイマイは、正午の時間帯において、ロージー・ウルフ・スネイルよりも平均して10倍以上の太陽光を浴びていたのです。

これは殻が黒くて、日光を吸収してしまうロージー・ウルフ・スネイルでは耐え切れません。

また研究チームは「本種が夜間になってからシロポリネシアマイマイを捕食しに行かないのは、日が昇る前に自分たちの生息場所へと戻れないからではないか」と考えています。

シロポリネシアマイマイは、受光量の多い森の端に暮らしており、やはり白い殻は日光の反射に役立っていると思われます。

光の射す場所にいられることが、彼らの生き残りの秘密だったようです。

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!