子供をおんぶして運ぶ親ガエル
子供をおんぶして運ぶ親ガエル / Credit: Andrius Pašukonis-Stanford University(2021)
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おたまじゃくしを「おんぶ」して、自身の200倍の高さまで運ぶカエルがいると明らかに

2021.06.18 Friday

Poison frog tadpoles can survive (almost) anywhere https://phys.org/news/2021-06-poison-frog-tadpoles-survive.html
Pool choice in a vertical landscape: Tadpole-rearing site flexibility in phytotelm-breeding frogs https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.7741

中南米の熱帯林に生息するカエルたちには、面白い習性があります。

彼らは生まれたばかりのオタマジャクシをおんぶして、あっちこっちの水たまりに運ぶのです。

今回、フィンランド・ユヴァスキュラ大学(University of Jyväskylä)と米・スタンフォード大学(Stanford University)の研究グループは、フランス領ギアナに遠征し、オタマジャクシがどんな場所に運ばれているかを調査。

その結果、アイゾメヤドクガエル(Dendrobates tinctorius)という種のとんでもない運搬能力と、その子供たちの環境適応能力が明らかになりました

研究は、6月15日付けで科学雑誌『Ecology and Evolution』に掲載されています。

「海水並みの酸性度」でも生きられるオタマジャクシ?

日本のような温帯域の種とは違い、新熱帯区(Neotropic、中南米エリア)に住むカエルの多くは地面に卵を産みます

しかし、孵化したオタマジャクシはエラ呼吸をするので、地上では生きられません。

そこで父親のカエルが子供たちをおんぶして、地面や樹木のくぼみにできた水たまりに運び、そこを保育所とします。

研究チームは今回、運搬習性を持つ7種のカエルを対象に、保育所となる水たまりの場所や化学成分を調べました。

2年間のフィールドワークで、100カ所以上の水たまりをサンプリング。

その結果、6種のカエルでは水たまりの位置が固定されていましたが、アイゾメヤドクガエルだけは地上0〜20メートル以上と、運搬範囲が非常に広かったのです。

こちらはその模式図。

1番のアイゾメヤドクガエルは範囲が広く、2〜7番のカエルは低・中・高のいずれかで固定しています。

 

7種の運搬範囲
7種の運搬範囲 / Credit: Chloe A. Fouilloux et al., Ecology and Evolution(2021)

さらに驚くべきは、アイゾメヤドクガエルの水たまりは、水素イオン濃度がpH3〜pH8と異常な幅を示したことです。

pH3とpH8では水素イオン濃度が約10万倍も違います。

言い換えるなら、本種のオタマジャクシは、オレンジジュースより少し強い酸性度から、海水と同レベルの酸性度まで耐えられるということです。

現にpH8の水たまりでも、健康に成長しているオタマジャクシが確認されています。

保育所となる水たまり
保育所となる水たまり / Credit: Chloe A. Fouilloux et al., Ecology and Evolution(2021)

一方で、本種のオタマジャクシはカニバリズム習性を持つため、それぞれの水たまりに運搬される数は平均1〜2匹と低密度でした。

それでも、10匹以上のオタマジャクシが共存している水たまりもあり、親が同種喰いを避けるように運んでいるかどうかは定かでありません。

また、親の方に焦点を当てると、アイゾメヤドクガエルは高い運搬能力を持っていると言えます。

本種のオスは4センチほどで、地上20メートルは体長の500倍です。

私たちに置き換えると、165センチの人が子供を背負ったまま、825メートルの高層ビルに登るのと同じです。

子供を背負って木を登るアイゾメヤドクガエル
子供を背負って木を登るアイゾメヤドクガエル / Credit: Andrius Pašukonis-Stanford University(2021)

それから、化学的および生理的な点からすると、オタマジャクシにとって「快適な」水たまりは樹木の高い位置にあったとのこと。

とすれば、な親ガエルがオタマジャクシを運ぶ高さには、なぜ0〜20メートルという幅があるのでしょう?

全員を樹上ではなく、地上の水たまりにも運搬している理由が分かりません。

単純にすべてのオタマジャクシを樹上に運ぶのが疲れるからでしょうか。

研究主任のクロエ・フイユー氏は「今後は、カエルの運搬に費やされるエネルギーや、水たまりの場所と化学成分がオタマジャクシにもたらす成長の違いを明らかにしなければならない」と述べています。

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