定期的に陸で運動させた魚は脳が発達する
実験では、1つのグループは水の入ったボウルの中で2カ月生活させ、もう1つのグループは数日ごとに水を抜いて陸に上げ、ペンでつついて3分間ジャンプさせました。
2カ月後、研究者はそれぞれの魚をボウルから取り出して、脳を解剖しました。
すると、定期的にジャンプさせられていた魚は、大脳皮質に当たる部分(終脳背側部の外套)の細胞が、新しい環境に適応するため最大46%も多く成長しているとわかりました。
魚類は原始的な生物のため、脳の作りも陸上の動物とは異なっています。
各部位の存在は同じですが、特に大脳は陸上の動物と比べ非常に小さくなっています。
さらに、研究者は解剖しなかった魚を、ゴールにエサをおいた迷路に入れて実験しました。
すると、陸にあげられていたグループの方が、ずっと水中飼育したグループより、早く迷路をクリアできたのです。
研究者はこうした脳の発達は、地上でジャンプ運動をすることで、魚が空間学習することで起きたのだろうと説明しています。
鳥類などは、空間を把握するために脳が大きく進化したことが知られています。
しかし、今回のケースは世代を超えた脳の進化ではなく、一個体の生涯において陸での生活が脳を発達させることを示しています。
この事実は非常に興味深い発見で、古代の海の生物は、海岸へと飛び上がったり、這い回ったりすることでより高度な脳を発達させた可能性があります。
これは、陸生動物へと生物が発達していくための基礎となる知識です。
生物はいかにして海から陸へ上がったのか? 今回の研究は、その謎に満ちた進化論の一端を垣間見せてくれます。