ランドヨット「ブラックバード号」
ランドヨット「ブラックバード号」 / Credit: Veritasium/YouTube(2021)
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「風のみで動くヨットは風速を上回れるか?」科学ユーチューバーと物理学者が1万ドルをかけて勝負!

2021.06.24 Thursday

A YouTuber Bet A Physicist $10,000 That A Wind-Powered Vehicle Can Outrun the Wind https://interestingengineering.com/a-physicist-and-a-youtuber-bet-10000-on-whether-a-wind-powered-vehicle-outrun-the-wind?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=18062021 A Physicist and a YouTuber Made a $10,000 Bet Over the Laws of Physics https://www.vice.com/en/article/pkb3pk/a-physicist-and-a-youtuber-made-a-dollar10000-bet-over-the-laws-of-physics

科学ユーチューバーと物理学者の賞金1万ドル(約110万円)をかけた大勝負が勃発しました

ことの発端は、先月末に、アメリカの人気科学YouTubeチャンネル「Vertiasium」にアップされた一本の動画。

そこでチャンネルホストのデレク・ミュラー氏は「風力のみで動く乗り物が、風そのものよりも速く走る」ことを実証しています。

しかし、それに待ったをかけたのが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の物理学者、アレクサンダー・クセンコ氏です。

氏は「エネルギー保存の法則に反するため、物理学的にありえない」と反論

つまり、二人の争点は”風を動力源とする乗り物は、風そのものより速く走れるのか”ということです。

これは10年以上前から議論されている問題で、いまだに決着がついていません。

さて、双方の言い分はどのようなものでしょうか。

風より速い「風力ヨット」の仕組みとは?

こちらが、勝負のきっかけとなった動画です。

動画内で使用されたのは、空気力学者で熱心なカイトサーファーでもあるリック・カヴァラーロ氏が製作したランド(陸上)ヨット「ブラックバード号(Blackbird)」です。

カヴァラーロ氏によると、ブラックバード号は風だけを加速源として、風速自体を上回るスピードを出すという。

ミュラー氏とチームスタッフは、その真偽を確かめるべく、カヴァラーロ氏の協力のもと、ブラックバード号の実証テストを行いました。

ヨットは帆に風を受けて推進力を得ますが、この時、風向きと平行に風を受けると風速は超えられません

風と同じ向きだと風速は超えられない

しかし、カヴァラーロ氏は「風向きに対して斜めに風を受ければ、動力が増して風速を超えられる」と指摘します。

2枚目の画像

例えば、風船とヨットを競争させるとして、ともに風向きと平行に進めば差は出ません。

ところが、ヨットを風向きに対しジグザグに操作すれば、風船より速く前進できるのです。

3枚目の画像

カヴァラーロ氏は、この原理を応用して、ブラックバード号のプロペラが常に風を斜めに受けられるよう設計しました。

分かりやすくするため、上の水面の画像を筒状に丸めるイメージをしてください。

すると、その上のヨットは水柱を斜めにグルグルと前進します。

そのヨットを2艘にしたときのイメージがこちらです。

4枚目の画像

この場合、2艘とも常に風を斜めに受けています。

これをプロペラとして具現化したのが、ブラックバード号です。

風を斜めに受けるプロペラ

このユニークなデザインにより、プロペラが後ろの風からエネルギーを効率よく拾い、前進する力を増大させるという。

実際、ミュラー氏が試乗したテストでは、ブラックバード号が風速の2.8倍の速さを記録したと報告されています。

こうしてミュラー氏は「風力のみで動く乗り物は、風そのものより速く走ることができる」と結論しました。

6枚目の画像

ブラックバード号に乗るミュラー氏

しかし、動画を見たクセンコ氏が「その結論は間違っている」とミュラー氏に反対しました。

その心は?

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