南極を中心に見た世界の海
南極を中心に見た世界の海 / Credit:nation.maps.arcgis.com
geoscience

世界に「5つ目の海」が追加される

2021.06.23 Wednesday

There’s a new ocean now—can you name all 5?(National Geographic) https://www.nationalgeographic.com/environment/article/theres-a-new-ocean-now-can-you-name-all-five-southern-ocean Earth’s fifth ocean just confirmed(LiveScience) https://www.livescience.com/earth-fifth-ocean-confirmed.html

世界の海といえば「7つの海」という言葉が思い浮かびます。

この7つの海は時代によって異なりますが、現在は「南太平洋・北太平洋・南大西洋・北大西洋・南極海・北極海・インド洋」を指しているとされています。

ところが実は「南極海」という海は、これまで公式に認定されてはいなかったのです。

しかし、ナショナル・ジオグラフィック協会は、世界海洋デーとなる6月8日に、この「南極海」を公式に世界地図に追加することを発表しました。

結構あちこちで耳にする南極海ですが、なぜこれまで存在していなかったのでしょうか?

そこには海をどのように定義するかという地理学的な問題と、政治的な問題が絡んでいます。

海洋をどうやって定義するのか?

世界の海は7つという考え方がどの辺りから始まったのか定かではありませんが、現在の世界地図で公式に認定されている海は「太平洋・大西洋・インド洋・北極海」の4つだけです。

7つと呼ぶときは太平洋と大西洋を南北に分けることで数合わせをしていますが、それはともかく5つ目の海、「南極海」というものは公式には存在していません

いや、聞いたことあるし、Wikipediaにもページがあるよ、という思うでしょうが、ここにはいろいろと難しい問題があります。

実際、南極周辺の海が独特の環境で、独自の海であるという認識は100年以上前からあり、科学者たちは「南極海」という呼称を普通に使ってきました。

ではなんで南極海はずっと認められなかったのでしょう?

それは海洋をどのように区別するのかという地理学的な問題にあります。

世界の海洋は基本的に大陸によって区切られている
世界の海洋は基本的に大陸によって区切られている / Credit:Wikipedia,ナゾロジー編集部

こうして世界地図を見るとわかるように、世界の海洋は大陸によって区切られています

ところが南極海は3つの海とつながっていて、世界で唯一大陸をぐるっと取り囲んで存在している海で、明確に区切る場所がありません

このため、地理学者たちは、南極海が太平洋や大西洋、インド洋の南の端が伸びたものなのか、それとも固有の海なのかということをうまく説明できなかったのです。

またもう1つ、地政学的な問題もここに絡んできます。

日本に住んでいると、海の名前をなんと呼ぶかで政治的な揉め事が起きるということはよく理解できると思います。

世界の標準となる海洋名を定めているのは国際路機関(IHO)ですが、ここのガイドラインでは1937年に「南極海」は認定されていて、実はきちんと記載がありました。

しかし、これについて1953年に論争が起き、国際的な合意が得られなくなったため、南極海の呼称は廃止になってしまったのです。

つまり、南極海は長い間、科学者によって認識されてきましたが、国際的な合意がなかったために、公式には認定されていなかったのです。

世の中で認識されていながら、公式に認められていない、要は南極海は「ふなっしー」のような存在だったのです。

船橋市非公認ご当地キャラ「ふなっしー」
船橋市非公認ご当地キャラ「ふなっしー」 / Credit:funassyiland

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