ホワイトプラムドアネモネ
ホワイトプラムドアネモネ / Credit:Daderot_Metridium farcimen(wikipedia)
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イソギンチャクはアリを食べていたことが明らかに

2021.06.26 Saturday

イソギンチャクは口に収まるものであれば、どんなものでも食べてしまう水中捕食者です。

アメリカ・ニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo: UB)地質学部に所属するクリストファー・ウェルズ氏ら研究チームは、イソギンチャクの胃腔(消化吸収器官)内容物のDNAを初めて調査

その結果、アメリカ太平洋岸に生息するイソギンチャクは陸上生物のアリを食べていたと判明しました。

研究の詳細は、6月15日付の科学誌『Environmental DNA』に掲載されました。

Giant sea anemone eats ants https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/giant-sea-anemone-eats-ants/
DNA metabarcoding provides insights into the diverse diet of a dominant suspension feeder, the giant plumose anemone Metridium farcimen https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/edn3.225

イソギンチャクの胃腔内容物DNA調査

自然界の生態系を理解するためには、そこに住む動物の食生活を知ることが非常に大切です。

これは陸上だけでなくさまざまな地域の海洋コミュニティにも当てはまります。

フロリダ自然史博物館の無脊椎動物学者グスタフ・ポーレイ氏によると、「イソギンチャクは海に多く生息する動物のひとつであり、周囲の食物網に影響を与えています」とのこと。

つまりイソギンチャクが何を食べているか知ることは、海洋生態系の理解を大きく深めるのです。

ホワイトプラムドアネモネ
ホワイトプラムドアネモネ / Credit:Christopher D. Wells(University at Buffalo)_DNA metabarcoding provides insights into the diverse diet of a dominant suspension feeder, the giant plumose anemone Metridium farcimen(2021)

では、これまでイソギンチャクの食事はどのように調査されてきたのでしょうか?

それは「イソギンチャクを解剖し、最後に食べた残骸を取り出し観察する」というシンプルな方法です。

しかしこの方法は手間がかかります。

また消化液によって情報が削られ、高い信頼性が得られません。

そこで研究チームは、イソギンチャクでは初めてのDNA調査を行うことにしました。

イソギンチャクの胃腔から取り出した消化しかけの混合物から遺伝子を抽出し、生物DNAデータベースと比較して一致するものを探したのです。

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