デスクワークは命を危険にさらす仕事だった
上のグラフではQ1がもっとも運動量の少ないグループ、Q4がもっとも運動量の多かったグループ別の座位時間と死亡率を示したものです。
図の左から右に行くほど、余暇に運動していた人たちということになります。
しかし、糖尿病を除くと、ほとんど死亡率に変化が見られません。
つまり、余暇時間にいくら運動しても、座位時間が増えることで増加した死亡率の増加は解消されなかったのです。
デスクワークは多くの人が従事する職業です。現在はテレワークの普及に伴い、さらに座りっぱなしで過ごす人が増えている可能性もあります。
しかし、連続して座りっぱなしの状態を続けることは、非常にリスクを伴う行為であるということを理解しておかねばなりません。
研究の結果によると、余暇時間の身体活動量を増やしても、座位時間が及ぼす健康被害の減少効果はごくわずかであることがわかります。
これは座っている時間を短縮する努力が必要ということを示しているのです。
かつてある会社が、社員を立ちっぱなしで作業させていて批判されたりしていましたが、実はかなり人道的な行為だったのかもしれません。
特に日本は世界各国と比較しても、日中の座位時間が長いことが示されています。
研究者は、連続した座位時間を中断することの重要性を訴えており、こまめに動くことで、連続した座位時間を減らすことを心がけるべきだと話しています。
とはいっても、デスクワークに従事している人は、この事実がわかったからといって、日中の座り時間を自由にコントロールすることは難しいでしょう。
「もはや座して死を待つのみ」
デスクワークとは、死を覚悟した侍の境地にある過酷な職業だったのかもしれません。