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biology

「赤い光」で照らした細胞の遺伝子だけを書き換えるウイルスが開発される!

2021.06.30 Wednesday

A remote control for gene transfer https://www.pr.uni-freiburg.de/pm-en/press-releases-2021/a-remote-control-for-gene-transfer
Spatiotemporally confined red light-controlled gene delivery at single-cell resolution using adeno-associated viral vectors https://advances.sciencemag.org/content/7/25/eabf0797

狙った細胞だけ遺伝子を書き換える方法が開発されました。

6月16日に独アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクの研究者たちにより『Science Advances』に掲載された論文によれば、赤い光と植物の遺伝子を組み込んだウイルスを用いて、狙った細胞の遺伝子だけを書き換えたとのこと。

書き換えの精度は1細胞レベルで可能であるため、蛍光遺伝子を組み込めば、細胞シートに幅1細胞の光る文字を書くことも可能です。

しかし、このような究極の遺伝子組み替えシステムを、研究者たちはいったいどうやって可能にしたのでしょうか?

ウイルスに感染する細胞を指定する

赤い光をあてた細胞だけ遺伝子を書き換える技術が開発されました
赤い光をあてた細胞だけ遺伝子を書き換える技術が開発されました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ウイルスを用いた細胞の遺伝子書き換えは、現代の生物工学の基礎技術となっています。

新たな遺伝子をあらかじめウイルス内部に詰め込み、細胞に感染させることで遺伝子を組み込むのです。

しかし既存の方法では、感染可能な細胞が複数ある場合、ウイルスは相手を区別しないため、細かな制御はできませんでした。。

ですがフライブルク大学の研究者たちには、この状況を打破する秘策を開発。

鍵となったのは、シロイヌナズナの細胞に含まれる「赤いに反応して結合するタンパク質」でした。

白い小さな花で知られるシロイヌナズナは、私たちにとって見慣れた植物です。

実はシロイヌナズナは植物実験の王者であり、遺伝子の解明も進んでいます。

研究者たちは今回、そんなシロイヌナズナの光合成遺伝子に含まれる、「PIF」と「phyB」と呼ばれる2つの赤い光に反応して結合するタンパク質に着目しました。

ウイルスの感染は表面にある「スパイク」と呼ばれる部分が、細胞表面にある特定のタンパク質と結合することから始まります。

さきほどの「PIF」と「phyB」のうち、1つをウイルスに、もう1つを細胞にくっ付けることができれば、赤い光で照らした細胞にだけウイルスを感染させられる可能性があります。

仮説を証明するために早速、研究者たちは実験にとりかかりました。

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