化石調査では、小惑星衝突前から恐竜の多様性は低下していたという
化石調査では、小惑星衝突前から恐竜の多様性は低下していたという / Credit:depositphotos
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恐竜は隕石落下前からすでに絶滅に向かっていたという研究 (2/2)

2021.07.01 Thursday

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なぜ恐竜たちは絶滅したのか?

寒冷化が草食獣を減らし、種の安定を低下させていった
寒冷化が草食獣を減らし、種の安定を低下させていった / Credit:depositphotos

重要なことは、恐竜たちが非常に地球が温暖な時期に繁栄していて、暖かい時期の多様化に有利な種だったということです。

彼らは安定した体温を維持するために、温暖な気候に依存していました。これは特に大型の恐竜にとっては大きな問題になります。

そのため彼らは、涼しい気候には対応しづらい種だったのです。

白亜紀後期は、地球が徐々に涼しい気候へ変化していたことが示されています。

カメのような爬虫類は、温度によって胚の性転換が決定されるため、恐竜も同様だった場合、温度の低下によって恐竜たちは性の多様性が喪失したという可能性もあります。

ブリストル大学の古生物学者であるマイク・ベントン(Mike Benton)教授は次のように説明します。

「恐竜たちが絶滅に向かったことには、主に2つの要因があることがわかりました。

1つは、全体的な気候の冷え込みで、これが温暖な気候に依存した恐竜の生活を困難にしました

これによりまず草食恐竜が失われ、生態系が不安定になり、絶滅の危機に瀕することになったのです。

もう1つは、彼らが長寿命であったことです。そのため地球の新しい環境に対する適応速度が遅かったのです」

そして、1億6000万年に及んだ恐竜たちが衰退をはじめたことで、哺乳類を含む他のグループが支配的になってきました。

恐竜たちはとても巨大だったので、下草の中に小さな毛皮の生き物たちがいたことなど気づいていなかったでしょう。

しかし、哺乳類は恐竜たちが去る前に、種の数を着実に増やしはじめ、それは小惑星の衝突後、新しい生態系を構築するために貢献したのです。

そしてついに小惑星の落下が恐竜たちにとどめを刺した。
そしてついに小惑星の落下が恐竜たちにとどめを刺した。 / Credit:canv

ただ、今回の研究が完全な情報であるとは認めない研究者もいます

スペインのビーゴ大学のアルフィオ・アレッサンドロ・キアレンザ(Alfio Alessandro Chiarenza)氏は次のように述べます。

「白亜紀末期の岩石はほとんどの地域で保存されておらず、北米の60%の地域にこの時代の化石がありません。

アフリカや、ヨーロッパ地域でも、この時代の恐竜の多様性は特定できないのです。

アジアに至ってはまったく適切な岩石がありません」

実際恐竜の絶滅がどのように進んでいたかは議論の余地があるようです。

しかし、もし小惑星の衝突がなかったとしても、長く繁栄しすぎた恐竜の時代を、地球環境はそろそろ終わらせようとしていたのかもしれません。

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