書かれていたのは『旧約聖書』の一節と判明
文字を解読したのは、カリフォルニア州・アラメダ在住の一般男性、アレックス・コルテスさん。
工業品売買を営むコルテスさんは考古学に興味を持っていたものの、正式に学んだ経験はありません。
それでも普段から歴史や考古学のニュースをよく見ていたそう。
そして今年の5月17日、先の印章に関する英国のニュースをツイッター上で目にしました。
記事内には「中世時代の銀印が見つかったものの、刻印されている文字が判読できない状態にある」と記載されていました。
This is a weird one (though not all that weird; Roman intaglios were often placed on shrines of medieval saints as offerings); a medieval seal found in Norfolk that includes a Roman intaglio. The name looks something like Iocelin or Gocelin? @HelenGeake https://t.co/2xlnFlPzxk
— Dr Francis Young (@DrFrancisYoung) May 16, 2021
コルテスさんは印章に既視感を覚え、くわしく調べてみることにしたという。
苦労して調べた末、コルテスさんは、2006年8月に掲載されたある記事を発見しました。
そこには、今回のそれと瓜二つの印章が紹介されていたのです。
この印章も13世紀の中世時代に作られたものの一つでした。
そこからコルテスさんは、印章の文字が『詩篇』第36篇27節の「Declina a Malo, a fac bonum(悪をさけて、善を行え)」であることを突き止めたのです。
『詩篇』は、旧約聖書に収められた150篇にわたる神ヤハウェへの賛美の詩で、上の文句は現代の聖書で第37篇に当たります。
ちなみに、詩篇の中では「悪をさけて、善を行え」の後に、「そうすれば、あなたはとこしえに住むことができる」と続く。
その旨を返信したところ、担当の「ポータブル・アンティクイティーズ・スキーム(Portable Antiquities Scheme、英)」が印章を比較調査。
結果、両者の印章は一致するとし、文字も「Declina a Malo, a fac bonum(悪をさけて、善を行え)」で間違いないと判断されました。
同団体のヘレン・ギーク博士は「謎を解いてくれたことに本当に感謝しています」と述べています。
We are very grateful, US man on Twitter! https://t.co/JJw75i8YyC
— Helen Geake (@HelenGeake) July 4, 2021
当のコルテスさんは「お手伝いができてとても嬉しい。私はプロではありませんが、興味とやる気があれば、誰でも歴史に貢献できることを示せたと思う」と話しました。
記事内容に一部誤字があったため、修正して再送しております。