判読不能の文字の意味とは?
判読不能の文字の意味とは? / Credit: PORTABLE ANTIQUITIES SCHEME(2021)
history archeology

13世紀の銀印の文字を「ツイッターユーザー」が解読成功!

2021.07.07 Wednesday

去年8月、英・ノーフォークの町ゲイトンで、13〜14世紀に作られた銀製印章が発見されました。

古代ローマ時代の彫刻を再現した印章のようですが、損傷が激しく、刻印された文字はすでに読めない状態でした。

専門家にも解読できず、調査は難航。

このまま迷宮入りかと思われた矢先、なんとアメリカの一般男性からツイッター上でその答えがもたらされたとのこと。

印章にはなんと書かれていたのでしょうか。

Norfolk seal inscription mystery solved by US man on Twitter https://www.bbc.com/news/uk-england-norfolk-57678500 Rare Medieval Silver Seal Matrix Treasure Inquest In Shrewsbury(2006) https://www.culture24.org.uk/history-and-heritage/archaeology/art39372

書かれていたのは『旧約聖書』の一節と判明

文字を解読したのは、カリフォルニア州・アラメダ在住の一般男性、アレックス・コルテスさん。

工業品売買を営むコルテスさんは考古学に興味を持っていたものの、正式に学んだ経験はありません。

それでも普段から歴史や考古学のニュースをよく見ていたそう。

そして今年の5月17日、先の印章に関する英国のニュースをツイッター上で目にしました。

記事内には「中世時代の銀印が見つかったものの、刻印されている文字が判読できない状態にある」と記載されていました。

コルテスさんは印章に既視感を覚え、くわしく調べてみることにしたという。

苦労して調べた末、コルテスさんは、2006年8月に掲載されたある記事を発見しました。

そこには、今回のそれと瓜二つの印章が紹介されていたのです。

この印章も13世紀の中世時代に作られたものの一つでした。

コルテスさんは見つけた記事内の印象
コルテスさんは見つけた記事内の印象 / Credit: British Museum(Culture 24)-Rare Medieval Silver Seal Matrix Treasure Inquest In Shrewsbury(2006)

そこからコルテスさんは、印章の文字が『詩篇』第36篇27節の「Declina a Malo, a fac bonum(悪をさけて、善を行え)」であることを突き止めたのです。

『詩篇』は、旧約聖書に収められた150篇にわたる神ヤハウェへの賛美の詩で、上の文句は現代の聖書で第37篇に当たります。

ちなみに、詩篇の中では「悪をさけて、善を行え」の後に、「そうすれば、あなたはとこしえに住むことができる」と続く。

今回見つかった印章
今回見つかった印章 / Credit: PORTABLE ANTIQUITIES SCHEME(2021)

その旨を返信したところ、担当の「ポータブル・アンティクイティーズ・スキーム(Portable Antiquities Scheme、英)」が印章を比較調査。

結果、両者の印章は一致するとし、文字も「Declina a Malo, a fac bonum(悪をさけて、善を行え)」で間違いないと判断されました。

同団体のヘレン・ギーク博士は「謎を解いてくれたことに当に感謝しています」と述べています。

当のコルテスさんは「お手伝いができてとても嬉しい。私はプロではありませんが、興味とやる気があれば、誰でも歴史に貢献できることを示せたと思う」と話しました。

【編集注 2021.07.07 15:05】
記事内容に一部誤字があったため、修正して再送しております。

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