ウイルスを捕らえるナノカプセルを開発
ウイルスを捕らえるナノカプセルを開発 / Credit: Christian Sigl / DietzLab / TUM(2021)
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「DNA折り紙」でウイルスを無害化するナノカプセルの作成に成功

2021.07.18 Sunday

Hollow nano-objects made of DNA could trap viruses and render them harmless https://phys.org/news/2021-07-hollow-nano-objects-dna-viruses-harmless.html
Programmable icosahedral shell system for virus trapping https://www.nature.com/articles/s41563-021-01020-4

ミュンヘン工科大学(TUM)を中心とする研究グループはこのほど、DNA折り紙法を用いた、遺伝物質からなるナノカプセルの作成に成功しました。

ナノカプセルには、体内のウイルスをつかまえて、無害化する目的があります。

現在、細菌に対する抗生物質はありますが、ウイルスに対して有効なものはほぼありません。

ワクチンで予防できるウイルス感染症もありますが、新しいワクチンの開発には時間と労力がかかります。

その中で、ナノカプセルがウイルスへの効果的な対処法となるかもしれません。

研究は、6月14日付けで科学誌『Nature Materials』に掲載されています。

ウイルスサイズの「ナノカプセル」の作り方

生体分子ナノテクノロジーを専門とするヘンドリック・ディーツ氏(TUM)は、コロナのパンデミックが世間を騒がせる以前から、ナノカプセルの研究を進めていました。

ディーツ氏は、ウイルスのエンベロープ(ウイルス粒子に見られる膜状構造のこと)に注目しています。

エンベロープを構成する幾何学的原理は1962年に発見されており、同氏と研究チームは、この原理にもとづいて、ウイルスサイズの人工的なカプセルを作れないかと考えました。

さらに2019年の夏、このカプセルを一種の「ウイルストラップ」として利用することを思いつきます。

カプセルの内側にウイルス結合分子を並べれば、ウイルスをくっつけて、つかまえることができるはずです。

そのためには、カプセルに十分な大きさの開口部を設け、そこからウイルスを侵入させる必要があります。

そこでチームは、20個の三角形からなる正二十面体から出発して、ナノカプセルを3次元上で作ることにしました。

DNA折り紙法で組み立てたナノカプセル(電子顕微鏡での拡大図)
DNA折り紙法で組み立てたナノカプセル(電子顕微鏡での拡大図) / Credit: Christian Sigl / DietzLab / TUM(2021)

DNAプレートをより大きな幾何学的構造に組み立てるには、エッジをわずかに面取りする必要があります。

それからエッジの結合点を正しく配置することで、プレートが目的の形に自己集合するようになります。

ディーツ氏は「このようにして、三角形のプレートを使って、目的のオブジェクトとサイズを自由にプログラムできるようになりました。

今では、最大180個のサブユニットを使って、95%の精度でカプセルの生成に成功している」と話しています。

チームは次に、このナノカプセルを用いて、ウイルストラッピングのテストをしました。

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