立場が逆転するロールプレイは自己イメージを修正すると判明! 
立場が逆転するロールプレイは自己イメージを修正すると判明!  / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
psychology

「なりきりロールプレイ」で自己イメージを改善できると明らかに 

2021.07.28 Wednesday

Role-playing a social situation from another’s perspective helps reduce negative self-beliefs among people with social anxiety https://www.psypost.org/2021/07/role-playing-a-social-situation-from-anothers-perspective-helps-reduce-negative-self-beliefs-among-people-with-social-anxiety-61567
Beneficial Effects of Role Reversal in Comparison to role-playing on negative cognitions about Other’s Judgments for Social Anxiety Disorder https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0005791620300136

他人に「なりきる」体験は、自己理解にとって有用なようです。

オランダのアムステルダム大学の研究者たちによって『Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry』に掲載された論文によれば、ロールプレイを繰り返し行い続けるよりも、立場逆転を含めた「なりきりプレイ」のほうが、正しい自己理解に役立つとのこと。

設定された「お題」に沿って、主人公となって状況を進めていくロールプレイは「クトゥルフ神話」などを題材にしたテーブルトークなどでよく知られています。

今回の研究で設定ではモンスターも神話も出てこない現実世界に即した内容ですが、他人との立場逆転(性別逆転も含む)というヒネリが加えられています。

どうして他人になりきることが、正確な自己理解に役立つのでしょうか?

リアルなロールプレイが秘める精神効果

立場逆転ロールプレイには精神を変質させる大きな効果があった
立場逆転ロールプレイには精神を変質させる大きな効果があった / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

日本で「ロールプレイ」というと、ドラクエやファイナルファンタジーのようなロールプレイングゲームの印象が強いかと思います。

しかし家庭用ゲーム機が普及する前のロールプレイは、人間の進行役を中心にした人間同士の会話によって進行する「テーブルトークゲーム」が主流でした。

同じセリフしか繰り返さないプログラムと違って、人間同士の連携が紡ぐストーリーは、非常にリアルなものとなりえます。

以前から心理療法士たちは、このリアルな人間同士の関係をうみだせる「ロールプレイ」を対人恐怖症などの社交不安障害の治療に転用してきました。

現実に即したリアルなロールプレイは対人恐怖症などの治療に有効である
現実に即したリアルなロールプレイは対人恐怖症などの治療に有効である / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ロールプレイには他人と上手く会話をできず挙動不審に陥ってしまう人を訓練できる可能性を秘めています。

ロールプレイを用いた治療の結果は良好であり、社交不安障害の治療に大きな成果をあげます。

そのため主に海外では、よりリアルさを実現するために、専門の監督の雇用や大規模な舞台配置、小道具の使用といった大掛かりなロールプレイ治療が行われているそう。

またこれまでの研究により、ロールプレイ体験は健康な人の精神に作用することも知られています。

たとえロールプレイであっても真剣に演じることで、人間の心を変質させてしまう効果があるようです。

しかし、既存のロールプレイを用いた治療には限界があり、社交不安障害者たちの自分に対する負の感情を容易に取り払うことができませんでした。

そこで今回、オランダのアムステルダム大学の研究者たちは、既存のロールプレイを用いた治療に、とある要素を新たに組み込んだのです。

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