検査する加齢黄斑変性患者
検査する加齢黄斑変性患者 / Credit:Depositphotos
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「1回の注射」で病気による視力低下を逆転させる方法が開発される

2021.08.09 Monday

加齢黄斑変性(AMD)糖尿病網膜症による視力低下は、全世界で何億人もの人々を悩ませています。

これまでにも治療は可能でしたが、すべての人に効果があるわけではなく、繰り返し注射が必要になるなど、患者にとって決して簡単なものではありませんでした。

しかし最近、中国・首都医科大学(Capital Medical University)北京朝陽医院に所属する眼科医イン・ティエン氏ら研究チームが、それらの視力低下に対する効果的な治療法を開発。

これにより1回の注射で、多くの患者が視力を取り戻す可能性があるようです。

研究の詳細は、7月26日付の学術誌『Nature Biomedical Engineering』に掲載されました。

China-led study finds way to reverse a loss of eyesight https://www.scmp.com/news/china/science/article/3143892/china-led-study-finds-way-reverse-loss-eyesight?module=perpetual_scroll&pgtype=article&campaign=3143892
Reduction of choroidal neovascularization via cleavable VEGF antibodies conjugated to exosomes derived from regulatory T cells https://www.nature.com/articles/s41551-021-00764-3

加齢黄斑変性と糖尿病網膜症の原因

加齢黄斑変性とは加齢に伴って網膜が変性を起こす疾患であり、かすみ目、視力低下、失明の原因となります。

かつては老化による自然なプロセスだと考えられてきましたが、最近では原因の一部が明らかになっています。

目の奥の新しい血管が過剰に成長することで、失明に至っていたのです。

加齢黄斑変性
加齢黄斑変性 / Credit:National Eye Institute, National Institutes of Health(wikipedia)_加齢黄斑変性

老化した目がなぜ急速に血管を増やすのか、その正確な理由は分かっていません。

しかし、このプロセスを止めることで、高齢者や糖尿病患者にを取り戻すことができます。

そしてこの若い血管の成長は、「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」と呼ばれるタンパク質に大きく依存しています。

そのためこれまでにも、目に注射してVEGFタンパク質と結合する抗体が開発されてきました。

しかしこの治療法は40~60%の患者にしか効果がなく、繰り返し注射しなければいけません。

眼球損傷のリスクがあるだけでなく、患者に長期的な苦痛をもたらしていたのです。

そこで研究チームは、より良い治療法を開発することにしました。

次ページ1回の注射で視力が回復!臨床試験に期待!

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