太陽系に最も近い恒星「アルファ・ケンタウリ」に探査機を送る計画、その実現可能性と問題点とは

space 2018/05/11
Point
・太陽系に最も近い恒星アルファ・ケンタウリに探査機を送る計画がある
・そのためには、光を受ける軽量な帆の材料を開発する必要

昔からSF作家の注目の的である「アルファ・ケンタウリ」。この星はA星・B星・C星の3つの恒星からなる三重連星で、C星は「プロキシマ・ケンタウリ」として知られています。このプロキシマ・ケンタウリは太陽系に最も近い恒星であり、2016年にはこの周りを回る地球側惑星「プロキシマb」が発見されています。以来、この惑星には生命が存在するのではないかと期待されていました。

そして2年前、アルファ・ケンタウリに探査機を送ることを目的としたブレークスルー・スターショット計画が発足。研究者たちは今、この計画が現在の技術でどこまで実現可能か検討しています。ただ残念なことに、今の技術ではサイエンス・フィクションの中だけの話のようです。

では、実現可能性は本当に無いのでしょうか? また現在の問題点は何なのでしょうか。

Materials challenges for the Starshot lightsail
https://www.nature.com/articles/s41563-018-0075-8

楽観的な研究者の中には、人の一生にかかる時間内にアルファ・ケンタウリに到達できる可能性が、理論的にはあると考えている者もいます。ただし実現には、適切な材料を開発する必要があります。現在の宇宙船は化学燃料を使うか、あるいはスィングバイで惑星の重力を利用して加速しますが、それでは全くスピードが足りません。スターショット計画では41兆キロメートル離れたアルファ・ケンタウリまで何百年もかけるのではなく、何十年かで到達することを考えています。そのためには、光速の20%ものスピードが必要なのです。光のスピードに近づくにはどうすればいいのか?そう、光そのものを使うのです。計画されている探査機は、切手サイズの大きさで、それに大きな帆を張って地上からのレーザー光を受けることで推進力を得るというものです。

Credit: Breakthrough Starshot Animation

光子で推進力が得られることは、日本のIKAROSで実証済みですが、その際得られたスピードは、秒速400メートルに過ぎません。スピードを上げるためには軽量化が必須です。秒速6万kmのスピードを得るには、10平方メートルの帆が必要ですが、その重さは1グラム以下に抑えなければなりません。現在の技術でそれが可能なのが、軽くて薄く、そして強靱な素材として話題のグラフェン。しかし問題は、グラフェンが光を反射しないことです。

もし理想的な帆の材料が開発できたとしても、まだ問題は山積みです。超スピードで進む10メートル四方の帆には、ほんの僅かな粒子がぶつかっただけで、壊れるリスクがあります。地上からのレーザーは大気の影響を受けるため、遠ざかる宇宙帆船に焦点を当て続けるというのは至難の業。もし探査機がアルファ・ケンタウリに到達したとして、減速方法がないと観測自体がうまく出来ない可能性があります。

問題に次ぐ問題で、それぞれの問題が驚くほど難しいものばかりです。しかし、将来、驚くような解決法が現れ、懐疑論者たちが間違っていたことを証明してくれるのを期待しましょう。

 

ブレークスルー・スターショット計画 アニメーション

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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