連星の赤色巨星、自身のペアである中性子星の「命」を吹き返す

space 2018/05/13
Credit: astrobob
Point
・宇宙望遠鏡観測されたX線バーストの発信源は赤色巨星と中性子星の連星のもの
・赤色巨星の太陽風による物質の供給で中性子星のX線バーストがおきる
・磁場の強さから、中性子星がまだ若い状態であることがわかる

 

2017年の8月のことです。そのX線バースト(中性子星が起こす核融合爆発現象)は、欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡であるインテグラルによって最初に観察されました。しかし、見つかった場所は天の川銀河の中央付近。そのため、その発信源は特定できていませんでした。しかしその後何週間にも渡るX線の解析で、その発信源が赤色巨星の周りをゆっくり周回する中性子星であることがわかりました。

太陽の1倍から8倍までの質量を持つ恒星は、その終わりに赤色巨星となります。年とともに外層は、秒速数百キロの太陽風によってゆっくりと星の中心から遠ざかります。次第に外層は広がり、数百万キロメートルに達することもあります。

しかし、この連星では太陽風は空っぽの宇宙に広がるのではなく、ペアの中性子星によって捕らえられ、X線が次第に強められながら放射されます。

論文の著者であるエンリコ・ボッゾ氏は説明します。「インテグラルは、稀な連星系の独特な誕生の瞬間を初めてとらえました。赤色巨星は十分な濃度のゆっくりした太陽風を、対の中性子星に注ぎ、それによって死んだ星の核から高いエネルギーの放射が起こります」

▲赤色巨星からの太陽風が小さな中性子星に「栄養」を与え復活させる

太陽の8倍から30倍の質量を持つ恒星が燃料を使い果たすと、超新星爆発を起こします。その後に残った核が、中性子星です。質量は太陽の1.5倍ほどですが、そのサイズは約10kmしかありません。中性子星は宇宙の中で最も密度の高い物質の1つです。

中性子星はまた、その初期には強力な磁場をあらわしますが、時間とともに弱くなると考えられています。今回の中性子星の磁場を観測したところ、とても強力であることがわかり、この中性子星がまだ比較的若いことが示されています。しかし、その対となる赤色巨星はずっと古く、研究者たちはどのようにしてこの連星系が育ったのか不思議に思っています。1つの答えとして有力なのが、質量移転です。距離の近い連星系で、一方の星が物質を引き込んだり、逆に広がってもう一方に渡したりすることで起こります

「これらの天体は不可解です。そもそもこの中性子星の磁場が時間とともに崩壊することがないのかもしれませんし、この連星系で中性子星がずっと後になって形成されたのかもしれません。それが意味するのは、長い期間に及ぶ赤色巨星からの物質供給で、白色矮星から中性子星へと崩壊したということで、一般的な短命の高質量星による超新星爆発で出来たものではないということです」

インテグラルは観測を開始してから15年の間、このような連星を見たことがありません。よって赤色巨星が中性子星へと太陽風を介し質量を供給することで発生した巨大なX線バーストは、今回が初観測ということになります。ボッゾ氏が強調するのは、このタイプの系が共生X線連星と呼ばれる非常に稀なもので、知られているものは数えるほどしかないということです。今後このように稀なペアがどの様に出来たのかを研究することで、中性子星の通常とは異なった成長の仕方や、時間とともに磁場が弱まる様への洞察が増すこととなるでしょう。

 

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via: Astronomy/ translated & text by SENPAI

 

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