画像はA群レンサ球菌。今回のB群とは別の細菌。ヒト好中球(青)とA群レンサ球菌(オレンジ)の走査型電子顕微鏡画像
画像はA群レンサ球菌。今回のB群とは別の細菌。ヒト好中球(青)とA群レンサ球菌(オレンジ)の走査型電子顕微鏡画像 / Credit:National Institute of Allergy and Infectious Diseases
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「母乳の糖」に抗生物質に頼らない新しい治療法のヒントがある

2021.08.23 Monday

Sugars from human milk could help treat, prevent infections in newborns https://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/newsreleases/2021/august/sugars-from-human-milk-could-help-treat-prevent-infections-in-newborns.html B群レンサ球菌(GBS)感染症について(横浜市) https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/alphabet/gbs1.html

B群レンサ球菌(Group B Streptococcus : GBS)は、新生児の敗血症、髄膜炎、肺炎など感染症の原因として知られています。

こうしたGBS感染症の予防のためには、抗生物質が使用されますが、細菌の耐性はどんどん強まっているため抗生物質に頼らない新しい方法が望まれています。

そんな中、米ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)などの研究チームは、母乳に含まれるオリゴ糖「ヒトミルクオリゴ糖(HMO)」がGBS感染症の予防に役立つことを発見したと報告。

チームは将来的に、この方法が乳幼児や成人のGBS感染症の治療として、抗生物質に取って代わることができるかもしれないと述べています。

研究の詳細は、8月22日から26日まで開催される米国化学会(ACS)の秋季大会(ACS Fall 2021)で発表されています。

 

B群レンサ球菌(GBS)感染症とは?

レンサ球菌のイメージ
レンサ球菌のイメージ / Credit:depositphotos

GBS感染症感染症は、新生児以外に成人でも罹患することがありますが、特に新生児が感染した場合、命に関わる場合もある危険な感染症です。

米国では毎年約2000人の赤ちゃんがGBS感染症に罹患していて、そのうち4~6%はこの感染症が原因で亡くなっています。

また死亡しなかったとしても、髄膜炎では、聴力や視力を失ったり、運動や学習に障害が残る場合もあります。

しかし、B群レンサ球はすべての人に害のある細菌ではありません

老若男女を問わず、体内にGBSを持っている人は珍しくなく、なんの症状も出ない場合も多いのです。

こうした人々は、保菌者(キャリアー)と呼ばれます。

アメリカの統計では、妊婦の4~5人に1人が膣や直腸にこの細菌を持っていることが示されています。

赤ちゃんがGBSに感染する場合、その原因のほとんどは出産時に母親から移されたものです。

そのため、アメリカでは出産の近い妊婦の膣や直腸のGBS検査を行い、陽性反応が出た場合は、赤ちゃんの感染症を予防するために分娩時に母親へ抗生物質の点滴投与を行っています。

ただ、細菌の抗生物質耐性はどんどん強まっている傾向があり、また抗生物質の乱用がその数を増やす原因にもなっているというジレンマが存在します。

今後、細菌による感染症に確実に対処していくためには、抗生物質に頼らない方法も探さなければならないのです。

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