霜降りの和牛
霜降りの和牛 / Credit:depositphotos
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ついに和牛が3Dプリントされる 「バイオ肉」の時代へ

2021.08.26 Thursday

3Dプリントで和牛の“サシ”まで再現可能に! https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210824_4 First 3D-bioprinted structured Wagyu beef-like meat https://phys.org/news/2021-08-3d-bioprinted-wagyu-beef-like-meat.html
Engineered whole cut meat-like tissue by the assembly of cell fibers using tendon-gel integrated bioprinting https://www.nature.com/articles/s41467-021-25236-9

和牛は海外でも「Wagyu」と訳され、今や世界的にも有名な肉です。

和牛が美味しいのは、霜降りと表現される独特の脂肪の付き方にあり、それが豊かな風味と溶けるような食感を生み出しています。

これまでこの複雑な霜降りを、培養肉で再現することは困難でした。

しかし、大阪大学をはじめとした研究チームは、和牛肉の複雑な組織構造を3Dプリントで再現することに成功

世界人口の増加や気候変動から懸念される食糧危機に備えた、新しい技術を開発しました。

研究の詳細は、科学雑誌『Nature Communications』に8月24日付で公開されています。

未来の安定した美味しいお肉の供給

世界人口は増加し続けており、未来の安定した食料の確保は重要な課題
世界人口は増加し続けており、未来の安定した食料の確保は重要な課題 / Credit:canva

日本では人口減少が問題にされていますが、世界全体で見た場合、人類の人口は増加傾向にあります。

世界人口は2050年には97億に達すると予想されています。

また、これまで貧しかった国も発展していけば生活が向上していきます。

こうなると世界規模で、食用肉の消費が増加し、タンパク質需要の急増に対して供給が追いつかないというタンパク質危機(プロテインクライシス)が起きる懸念があります。

食用肉の生産には、家畜の飼育が必要ですが、これには大量の穀物や水の消費、広大な放牧地確保のための森林伐採、また家畜が出す尿やゲップによるメタンガスの増加(メタンガスはオゾン層破壊にもつながる)、という環境問題がつきまといます。

環境問題、気候変動、人口増加に対して畜産による供給では限界がある
環境問題、気候変動、人口増加に対して畜産による供給では限界がある / Credit:canva

地球温暖化にともなう気候変動の進行を考えると、食肉が今後の世界で安定的に供給できるかは、かなり不安なところです。

そこで注目されているのが、培養肉です。

培養肉は、動物から取り出した少量の細胞を培養に寄って人工的に増やして作った肉です。

これは2013年ころから本格的に研究が進められていて、現在は実用化に向けたペンチャー企業が世界中で設立されています。

未来のタンパク質供給源は培養肉か昆虫に頼ることになる
未来のタンパク質供給源は培養肉か昆虫に頼ることになる / Credit:canva

しかし、研究で報告されている培養肉はほとんどが筋繊維(赤身)のみで構築されるミンチ様の肉であり、複雑な組織構造をもった例えば霜降り和牛のような肉は、再現できていません。

食は人の心の豊かさにもつながる重要なものです。

未来の食事が培養肉に依存することになるなら、胃袋だけでなく舌や目も満足させる培養肉を生み出せなければならないでしょう。

そこで今回の研究チームが挑戦したのが、和牛の霜降りを再現するということだったのです。

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