端数価格にはデメリットがある
端数価格にはデメリットがある / Credit:Depositphotos
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端数価格の心理トリック「イチキュッパ」にはデメリットがあった

2021.08.28 Saturday

スーパーやコンビニの商品棚、ネットショッピングのサイトを見ると、「99円」とか「2980円」などの端数価格が目立ちます。

これは「100円」や「3000円」といった切りの良い値段よりも、消費者が「お買い得に感じる」ためです。

ところが最近、アメリカ・オハイオ州立大学(OSU)フィッシャーカレッジオブビジネス(Fisher College of Business)に所属するキム・ジュンハ氏ら研究チームは、マーケティングの常識である端数価格にはデメリットがあると発表しました。

実験では、端数価格が「アップグレード商品の購入を妨げる」という結果が出たのです。

研究の詳細は、8月25日付の学術誌『Journal of Consumer Research』に掲載されました。

Ending prices with “.99” can backfire on sellers https://phys.org/news/2021-08-prices-backfire-sellers.html
The Threshold-Crossing Effect: Just-Below Pricing Discourages Consumers to Upgrade https://academic.oup.com/jcr/advance-article-abstract/doi/10.1093/jcr/ucab049/6357714?redirectedFrom=fulltext

端数価格のデメリット

端数価格は安いと思わせるが、デメリットもある
端数価格は安いと思わせるが、デメリットもある / Credit:Depositphotos

端数価格は商品そのものを「より安い」と認識させるため、消費者の購買意欲を向上させます。

「1万円」の商品よりも、1万円未満で購入できる「9800円」の商品が好まれるのです。

ところが研究チームによると、端数価格には質や量が向上する「アップグレード商品」の購入をためらわせるデメリット効果がある、と考えられるとのこと。

つまり、以下の値段設定の場合、

  • ・「9800円の通常商品」と「1万1800円のアップグレード商品」が並ぶ
  • ・「1万円の通常商品」と「1万2000円のアップグレード商品」が並ぶ

よりアップグレード商品が購入されやすいのは、後者だというのです。

この効果を確かめるため、チームはコーヒーやフェイスマスク、ストリーミングサービス、車、アパートなどを対象に、7つの異なる実験を行いました。

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