精神病は「脳の視覚ネットワークの不全」と関係している可能性

brain 2018/05/13
Credit: VisualHunt
Point
・MRIで安静にしている時の脳の血流を調べると同時に、精神健康の度合いを調査
・精神病の傾向が高い人の脳の視覚を司る部分に協調性の不全を確認
・何を見ているか選り分け、認識する働きと精神病に関係がある可能性

デューク大学の研究者たちが、脳の結合パターンがどの様に精神病のかかりやすさに影響するか調べるため、脳の画像解析を行いました。驚いたことに、視覚を処理する脳の領域が、精神病において重要な働きをする可能性が発見されました。精神病のリスクが一般に増加するのは、集中や内省を司る脳のネットワークと、視覚野の間での情報伝達に障害があるときのようです。

A Connectome Wide Functional Signature of Transdiagnostic Risk for Mental Illness
http://dx.doi.org/10.1016/j.biopsych.2018.03.012

研究では、大学の学生達605人のデータが使われました。被験者たちは、MRIの中で10分間リラックスした状態でいるように指示されました。MRIで脳の血流がどの領域で起こっているのかを記録したのです。被験者たちはまた、総括的な精神健康調査を受けました。それによりp因子という数値を割り出したのです。多くの症状や強い精神病症状が報告されている人には高いp因子スコアが割り当てられました。そして、すべての精神疾患と診断された人には治療が勧められました。

昨年報告された研究では、灰白質や白質の密度といった脳構造とp因子の関係が調べられています。その結果高いp因子スコアと相関を示したのは、視覚刺激を含む外部刺激と複雑な行動を調整する脳の領域の、灰白質や白質の容積の減少と統合性の低さでした。

新たな研究では、この解析結果を拡大し、脳の機能的な回路についても調査。先進的な統計技術を使って、脳全体に渡る機能的な接続がどのようにp因子スコアと相関するのか調べました。その結果は一貫しており、高いp因子スコアを持つ人は脳の特定の領域が協調して働かなくなっていたことがわかりました。それは何を見ているのか認識し理解することを助ける、視覚野の4つの領域で顕著でした。

さらにこれらの視覚ネットワークが、集中や計画、内省を司るより複雑なネットワークとの接続に困難をきたしていることが判明。集中や計画に困難があることは、統合失調症や重い抑うつなどの重症な精神疾患とリンクしていました。

犬やネズミと比べて人間は、より視覚に依存した生き物です。私たちの注意の大部分が、視覚情報の仕分けに集中しています。視覚情報を仕分けしたり、動作に集中し続けるために、高次のネットワークは視覚ネットワークと協調して働く必要があります。瞬く光を無視したり、手近な作業にもっとも重要なものに関する情報を与え続けるためです。

「p因子を脳に割り当てることがもっと出来るようになり、それがどの様に精神病に影響を与えるかわかるようになれば、精神病に介入する新たな方法を見つけることができるでしょう」とデューク大学のマクスウェル・エリオット氏は期待を語りました。

 

以前から、先天的に目が見えない人には「統合失調症の患者がいない」ことが指摘されています。精神病と視覚野には、やはり深い関係があるのかもしれませんね。

 

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via: Medical press/ translated & text by SENPAI

 

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