天の川銀河でもっとも速く移動する星の正体

space 2018/05/12
Credit: DAVID A. AGUILAR / CFA
Point
・宇宙望遠鏡ガイアのデータから、天の川銀河で最も速く動く星の調査が始まる
・超新星爆発で弾き飛ばされたと考えられる白色矮星のスピードは秒速2400km
・銀河系の中央から遠ざかる星と銀河系外から飛び込んできた星とがあった

 

2013年に打ち上げられた、欧州宇宙機構の宇宙望遠鏡ガイア。天の川銀河にある多くの星を観測しており、先日13億の星の動きと700万の星の視線速度のデータを獲得しました。その後天文学者たちは、こぞって高速で動く星を見つけようと競争を開始。高速で動く星は、それが打ち出された点まで戻ることで、その力を生み出したイベントをたどることが出来ます。

One of the Milky Way’s fastest stars is an invader from another galaxy
http://www.sciencemag.org/news/2018/05/one-milky-way-s-fastest-stars-invader-another-galaxy

カリフォルニア州立大学バークレー校の天文物理学者ケン・シェン氏もこの競争に参加した一人で、彼の努力は報われました。彼は理論学者で、高速で動く白色矮星を探していました。というのも、la型超新星爆発に関する彼の考えが正しいのか確かめたかったからです。la型超新星爆発は星の残骸である白色矮星が起こす超新星爆発で、他の恒星と融合して物質を奪うことで、核の炭素が核融合を起こし爆発するというもの。

融合する他の恒星が何であるのかはわかっていません。シェン氏のお気に入りのシナリオは、白色矮星同士の連星がくるくるスピードを上げながら周り、融合する直前で片方が核融合するのに十分な質量を得て爆発し、もう一方がハンマー投げのハンマーのように高速で打ち出されるというものでした。

シェン氏らのグループはガイアのデータから最も早く動く星の候補を選び出し、地上の望遠鏡でその星のタイプと視線速度を得ました。そして、その中から彼の理論に合う3つの白色矮星を発見します。

その中の1つは秒速2400kmで飛んでおり、銀河系で最も速く動く天体の1つ。彼らは、この星の進路を10万年巻き戻ったところに何があるのか見てみました。すると、超新星の残骸があったのです。

また、他の研究チームも速く動く恒星を28個見つけたと、同誌に発表しています。その中のあるものは、銀河の真ん中から離れていくもので、理論的にはブラックホールから飛ばされたものと考えられます。連星系にブラックホールの重力が干渉して、一方の星を秒速1000kmで弾き飛ばします。これは銀河系の引力圏を脱出できるほどのスピードです。

また、見つかったものの内2つはその起点が銀河系の外にありました。これはおそらく大マゼラン雲。マゼラン雲のまだ発見されていない中央のブラックホールからはじき出されたものと考えられているのです。

 

暗黒物質の正体は原始のブラックホールだった?シミュレーション実験が行われる

 

via: Science/ translated & text by SENPAI

 

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