雷頻度の違いは積乱雲の背の高さが関係している
雷頻度の違いは積乱雲の背の高さが関係している / Credit:Depositphotos
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スパコン「富岳」が豪雨なのに雷が鳴ったり鳴らなかったりする理由を解明! (2/2)

2021.09.18 Saturday

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雷頻度の違いは積乱雲の高さから生じていた

気象雷モデルで再現された雷頻度
気象雷モデルで再現された雷頻度 / Credit:佐藤陽祐(北海道大学)豪雨なのに,雷が頻繁に鳴ったり鳴らなかったりするのはなぜ?~豪雨に伴う雷頻度の違いを数値シミュレーションで再現することに初めて成功~_(2021)

富岳によるシミュレーションの結果、九州北部豪雨と西日本豪雨を再現することに成功しました。

そして雷頻度が大きく異なる原因は、豪雨をもたらす積乱の背の高さの違いにあったと判明。

二つの豪雨をもたらした雲を構成する雲粒の質量(緑),あられの質量(赤),雨の質量(青) ,電荷密度の高度分布(黒)。実線は九州北部豪雨、点線は西日本豪雨を表す
二つの豪雨をもたらした雲を構成する雲粒の質量(緑),あられの質量(赤),雨の質量(青) ,電荷密度の高度分布(黒)。実線は九州北部豪雨、点線は西日本豪雨を表す / Credit:佐藤陽祐(北海道大学)豪雨なのに,雷が頻繁に鳴ったり鳴らなかったりするのはなぜ?~豪雨に伴う雷頻度の違いを数値シミュレーションで再現することに初めて成功~_(2021)

九州北部豪雨は背の高い雲によってもたらされましたが、その中では電荷を発生させるあられが多く存在しており、高いところまで広範囲にわたって分布していました。

その結果、雲内部の電荷が大きくなりやすく、雷が発生しやすかったようです。

対照的に、西日本豪雨は背の低い雲によってもたらされており、内部のあられは量が少なく、高い位置に存在できません。

結果として雲内部の電荷は大きくならず、雷も発生しにくかったのです。

さて今回の研究により、気象雷モデルを使うなら、雷頻度の予測が可能だと分かりました。

今後、スーパーコンピュータの能力が全体的に向上していくなら、天気予報に雷頻度の情報を加えることができ、雷被害の低減に貢献するでしょう。

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