植物を過剰成長させる細菌のメカニズムを分子レベルで解明
植物を過剰成長させる細菌のメカニズムを分子レベルで解明 / Credit: Saskia A. Hogenhout et al., Cell(2021)
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寄生細菌が植物を「ゾンビ化」させるメカニズムを解明

2021.09.20 Monday

Microbial Molecule Turns Plants Into Zombies: The Curse That Might Contain a Cure https://scitechdaily.com/microbial-molecule-turns-plants-into-zombies-the-curse-that-might-contain-a-cure/
Parasitic modulation of host development by ubiquitin-independent protein degradation https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)01012-6

ファイトプラズマ (Phytoplasma)という細菌は、植物に寄生することで様々な病気を引き起こします。

たとえば、植物の正常な繁殖・成長システムを破壊し、老化を遅らせることで、一種の「ゾンビ状態」にしてしまうのです。

これまで、こうした現象がどのようにして起こるのか、分子レベルではほぼ理解されていません。

しかし今回、ジョン・イネス・センター(John Innes Centre・英)の研究により、ファイトプラズマが植物を操作する化学メカニズムが解明されました。

同時に、その操作を抑止する方法まで見つかったとのことです。

研究は、9月17日付けで学術誌『Cell』に掲載されています。

植物の老化が止まり、ゾンビと化す

ファイトプラズマは、宿主となる植物の成長を再プログラムする能力を持つ植物病原細です。

寄生した作物を枯らしたり、萎縮させるほか、叢生(側枝が異常に生える症状)や葉化(花びらが葉に置きかわる症状)、てんぐ巣(側芽がひと所に異常発生する症状)を発症させます。

1000種以上の植物に寄生し、自生植物や農作物に大打撃を与える悪名高い細菌です。

てんぐ巣病にかかったヨーロッパダケカンバ
てんぐ巣病にかかったヨーロッパダケカンバ / Credit: ja.wikipedia

側枝や側芽が異常発生する原因は、ファイトプラズマが植物の重要な成長調節因子を破壊し、老化スピードを大幅に遅らせていることにあるとされます。

これにより、異常な成長が促され、枝や芽が大量に生え続けるというわけです。

植物はいわば、望んでもいない若さを与えられ、実際の年齢とは無関係に成長し続け、一種の「ゾンビ」と化すのです。

しかし、ファイトプラズマの操作を分子レベルで理解しなければ、ゾンビ化は止められません。

そこで研究チームは、モデル植物のシロイヌナズナを用いた遺伝学的・生化学的実験により、ファイトプラズマの働きを詳細に調べました。

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