人間から「しっぽ」を消した遺伝子を発見! 同じ遺伝子の変異でマウスの尻尾も消失
人間から「しっぽ」を消した遺伝子を発見! 同じ遺伝子の変異でマウスの尻尾も消失 / Credit:Bo Xia et al (2021) . bioRxiv . The genetic basis of tail-loss evolution in humans and apes
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人間から「しっぽを消した遺伝子」を発見! マウスの尾を消すことにも成功

2021.09.22 Wednesday

How Humans Lost Their Tails https://www.nytimes.com/2021/09/21/science/how-humans-lost-their-tails.html
The genetic basis of tail-loss evolution in humans and apes https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.09.14.460388v1.full

「しっぽ」の有る無しを決める遺伝子が発見されました。

ニューヨーク大学の研究者たちによれば、人間から尻尾を消した要因となる遺伝子(TBXT)を特定したとのこと。

尻尾がない人類やチンパンジーなどの類人猿は、この遺伝子に小さな「DNAの断片」が異物として入り込んでおり、遺伝子の働きが大きく変化してしまったようです。

また研究者たちが抽出した「DNAの断片」を尻尾があるマウスの遺伝子に入れたところ、マウスの尻尾も消失させることに成功しました。

人類の失われた尻尾にかかわる大きな謎が、最新科学で解き明かされようとしています。

研究内容の詳細は、9月16日にプレプリントサーバーである『bioRxiv』にて公開されています

「しっぽ」のないヒトや類人猿には共通の遺伝子変異が起きていた

「しっぽ」のないヒトや類人猿には共通の遺伝子変異が起きていた
「しっぽ」のないヒトや類人猿には共通の遺伝子変異が起きていた / Credit:Bo Xia et al (2021) . bioRxiv . The genetic basis of tail-loss evolution in humans and apes

現在地球上に生きる霊長類は、外見によって大きく2種類にわけることができます。

1つは尻尾を持つ多くのサルたち、そしてもう1つは人間やチンパンジーなどの「しっぽのないサル」です。

人間やチンパンジーなどの類人猿の尻尾は退化しており、骨盤に付着した尾てい骨になごりを残すのみになっています。

しかし奇妙なことに尻尾の喪失が、どのようにして、なぜ起きたのかは、いままで謎のままでした。

そこでニューヨーク大学の研究者たちは、6種類の尻尾のない類人猿のDNAを9種類の尻尾のあるサルのDNAと比較し、両グループ間の違いをさがしました。

結果、尻尾のない類人猿は「TBXT(ブラキュリー)」と呼ばれる遺伝子に共通の変異が起きていることが確認されます。

TBXT遺伝子はマウスなどの脊椎動物において、尻尾や背骨の形成にかかわる重要な遺伝子として古くから(1923年ごろから)知られている有名な遺伝子です。

分析の結果、尻尾のない類人猿はどの種も、TBXT遺伝子の中央部に300個ほどの遺伝子文字からなる同じ「DNA断片(Alu要素)」が、同じ位置に混入していたと判明します。

(※Alu要素とは自己複製のみを目的とした非ウイルス・非生命の配列情報のみに依存する存在(トランスポゾンの一種)として知られており、生命の突然変異を促す要因や遺伝子疾患の原因とされています)

同様の「DNA断片」の挿入は、人間のTBXT遺伝子の同じ場所にも起きていました。

そのため研究者たちは、この紛れ込んだ「DNA断片」のせいでTBXT遺伝子の機能が変化して、尻尾の喪失につながったと考えました。

そしてすぐに、仮説を証明する実験にとりかかります。

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